8月、台湾北東部、台北から特急列車で約2時間の所にある町、花蓮。
この町の小学校の校庭で、アミ族の豊年祭が行われるというので観に行きました。
台湾の原住民族、アミ族
台湾は、もともと原住民族だけが暮らしている島だったのですが、17世紀以降、漢民族が多数移住し、現在では原住民族はマイノリティーになっています。
原住民族の中で最大の人口なのが、アミ族。
人口は約18万7000人(台湾の人口は約2300万人)です。
アミ族は、花蓮から南東部の台東までの海岸地帯に主に居住しています。
アミ族は、旧暦の8月15日の中秋前後の日に、豊作を祝い平安を感謝する祭り「豊年祭」を毎年行っています。
祭りは各部落ごとに行われ、華やかな民族衣装を着た人々による歌や踊りが行われます。
ガイドさんに依頼したところ、ちょうどkennuyという部落の豊年祭が、花蓮の小学校の校庭で行われているというので、観に行きました。
アミ族おばさんの見事な踊り
小学校の校庭に入っていくと、音楽が聞こえてきて、仮設テントの並びが見え、その向こうでたくさんの人が踊っているのが見えました。
テンポのいい歌謡曲調の歌に合わせ、華やかな民族衣装を着た女性たちが踊っています。
見てください!
このアミ族おばさんの一点の淀みのない小気味の良い踊りを!
曲は民族調から歌謡曲調、現代ポップス調まで、いろいろな曲が使われ、踊りの振りもそれぞれ違っています。
覚えるだけで大変そうです。
赤を基調とした衣装にはたくさんの刺繍や飾り付けが施されています。
帽子もなんだか豪華絢爛!
可愛らしい子供たちの元気な踊り
子供たちもおばさん連中に負けじと元気に踊っています。
こういう場面だと、頑張るのは女の子。
特に写真左の女の子はおばさんたちに負けないくらいしっかりと踊っていて、やる気満々な感じでした。
男の子の踊りは、だらだら感いっぱいな感じ。
子供たち、踊りまくっています。
子供たちもかなり練習したんでしょうねー。
たくさんの曲で踊りを披露していましたから。
祭りの華、妙齢の女の子たちの踊り
若い女性たちも踊りに参加していました。
イマドキの娘である彼女たち。
たぶん、普段は欧米や日本の若者と同じようなファッションをして、ヒップホップとかR&Bの方が興味あるんでしょう。
見たところ、無垢な子供たちと違って、ちょっぴりやらされている感が見えました。
その証拠に、彼女たちが一番盛り上がったのは、アミ族ダンスではなく、若い男の子たちが踊ったヒップホップダンスの時。
だけど、きっと彼女たちも成人して大都会で働くようになった時、自分はアミ族の一員なのだと再認識し、この祭りのことを自分にとって大事なものだと思うようになるんでしょうねー。
老いも若きも飛び入り参加。豊年祭はハレの舞台
延々と続く豊年祭の歌と踊り。
流れている曲は口ずさみやすく明るい調子のものが多いです。
踊っている様子を見ていると、こちらも何だか一緒に踊ってみたくなってきます。
そう思っていた矢先、そこら辺にいったおっさんが飛び入り参加して踊り始めました!
会場には、ほぼ部落の人と思われる人しかいなかったので、彼も部落出身のおっさんなのでしょう。
周りの踊りと全然合っていなかったけど、すごいノリノリでしたー!
祭りのメインブースでは、MCがDJ風にそれぞれの踊りを紹介していました。
ブースには踊りの進行スケジュールと過去の豊年祭の写真が飾られています。
母は強し。母から娘へと受け継がれるアミ族の伝統
ベテランの踊り手であるおばさんダンサーと女の子。
豊年祭では女性の姿が際立って目立っていました。
アミ族は母系社会で、家族の仕事は女性が主体となり女性が責任を持つのだそうです。また、家業や財産についても長女が受け継ぎ、その優先順位は女性側にあって、姓も母方の姓が引き継がれるといいます。
母系社会:アミ族は母系社会で、母親を「太陽(cidar)」と称します。赤色の伝統的な服飾や羽の冠、花の冠、肩帯びに付いた円形の貝殻、腰帯に付いた鈴などはすべて太陽である母親を象徴しています。歌の中にも母親という言葉がよく出てきます。
年齢階級組織、礼儀を遵守:彼らの年齢階級組織は非常に厳格です。長老が高い地位にあり、絶対的な権威をもっています。長老たちの会議には否決権があり、年齢階級の法則を一貫しています。また、礼儀の訓練も年齢階級教育において最重要課題のひとつとなっています。
花東縦谷国家風景区ホームページ アミ族
今年一年の平穏な暮らしを神や祖霊に感謝
長老が踊り手たちにお酒を振舞います。
アミ族の豊年祭は、今年一年の平穏な暮らしと満ち足りた衣食住を神や祖霊に感謝するお祭り。
アミ族は多神教で、日本と同じような祖先崇拝があります。
アミ族は「kawas」を中心とする固有の宗教をもっています(鬼や神はすべてkawas)。宇宙の中で最も重要なのはkawasで、西方に暮らす造物神 maladawは土地森林、動植物、争いおよび年齢階級組織を掌握、北方に暮らす女神のdogiは寿命、生育、性別、婚姻、健康、族別などを掌握、東方に 暮らす海神kafitは海域や氣象、航海、漁、地震および台風を掌握すると言われています。祖霊は南方に集まっており、家族を見守っています。
花東縦谷国家風景区ホームページ アミ族
会場には、神(もしくは祖霊)へのお供え物が置かれていました。
ダイコンとかカブとか。
豊年祭、一年に一度のハレの日。
都会に出た人々も大集合。
談笑したり、記念撮影したり・・・
祭りも佳境。輪になって大団円
さて、お祭りも佳境に差し掛かってきました。
部落の代表者らしき方の歌う民族歌に合わせ、人々が手をつなぎ大きな輪を作り始めます。
そして最後は、
陽気な曲に合わせ、みんなで手を取り合って、会場内を踊りながら走り回り!
この時ばかりは、おじさんやおばさん、子供たちだけでなく、若者たちもニコニコ顔で楽しそうに走り回っていました。
大団円を迎えるkennuy部落の豊年祭。
めでたしめでたし。
アミ族の豊年祭、観ているだけの私も嬉しい気分になってくる、素敵なお祭りでした。
花蓮の町
豊年祭を観た花蓮の町は、見所もたくさん。
特に近郊にある世界屈指の大峡谷「太魯閣峡谷」は、台湾随一の絶景ポイント。
また、コバルトブルーの海が広がる「七星潭風景区」も見逃せない名所です。
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