韓国の首都「ソウル」にある「昌徳宮」は、李氏朝鮮(李朝)3代国王の太宗が1405年に創建した離宮。李朝時代当時の面影を最もよく残している宮殿として、世界遺産にも登録されています。
今回は、「昌徳宮」についてご紹介します。
こちらは、「敦化門」(トンファムン)。
昌徳宮の正門です。
韓国で最も古い門と言われ、1412年の創建当初のままの姿だそうです。
昌徳宮(창덕궁)を眺めて、チャングムの時代に思いを馳せる
李氏朝鮮とは、14世紀末から20世紀初頭にかけて朝鮮半島を支配した王朝で、朝鮮半島最後の王朝です。
500年以上も続いた王朝で、この間にはハングル文字が生まれ、秀吉の朝鮮侵略がありました。
唐辛子が伝来してキムチが現在のようになったのもこの時代です。
昌徳宮の進善門
李朝時代は、庶民にとっては厳しい時代だったようです。
両班という少数の特権階級が社会を支配し、強固な身分制で統制されていました。
また、文化政策的には、儒教の一派である朱子学が尊重され仏教は弾圧されました。
儒教のイデオロギーによって、商人や職人は賤しい身分とされ、経済が発達せず、芸能文化も抑制されたため、都市文化が発達しませんでした。
そのかわり、特権階級であった宮廷と、締め付けがあまり及ばなかった農村ではいろいろな文化が発展したのだとのこと。
進善門をくぐって宮殿の内部へ
李朝と言えば、チャングムが思い浮かびますね!
「宮廷女官チャングムの誓い」は、2003年に放送された韓国ドラマ。
李朝の宮廷を舞台に、貧しい生まれである徐長今(ソ・チャングム)が王の主治医になり、”大長今”の称号を与えられるまでを描いたサクセスストーリーです。
このドラマの魅力は、濃密に描かれた宮廷内の凄まじい権力闘争と、陰謀や謀略に打ち勝ちチャングムが成長し、成功を勝ち取るというところにあります。
耐えて耐えて、最後にはハッピーエンド。アジア人が大好きなタイプのストーリーです。
そのため、チャングムの誓いは、本国韓国で50%以上の視聴率を記録したほか、日本や台湾、香港、中国でも高い人気を誇り、タイやフィリピン、ベトナム、マレーシア、イランなどでも人気があったそうです。
また、アジア圏だけでなく、アメリカやオーストラリア、アフリカ圏などでも放映されています。
Wikipediaの記述によると、
「ジンバブエでは、北京オリンピック中継のため放送が中止となったが、放送しているZTVという放送局に抗議が殺到しオリンピック中継を中断し放映した逸話がある。
また、現地の韓国大使館後援で放映された特別番組のクイズには全国民の40%が応募するほどの人気である。
イランでは、チャングムの放映をきっかけとして韓国や韓国料理などに関心が集まっている」
とのこと。
すごいドラマですね、チャングム。
宮廷女官として活躍するチャングム。
ドラマでは、医食同源といわれる韓国宮廷料理や、漢方医療の数々が紹介され、これらもドラマの大きな魅力となっています。
また、テーマソング「懐夫歌(オナラ)」も耳に残る印象的な曲として有名です。
歌詞は三国時代の古朝鮮語を復元したものが用いられているのだとのこと。
チャングム役のイ・ヨンエ(李英愛)も魅力的。
彼女のキャッチフレーズは、「酸素のような女性」だそうです。
昌徳宮の「仁政殿」と「宣政殿」
昌徳宮の正殿である「仁政殿(インジョンジョン)」
「仁政殿(インジョンジョン)」の回廊と屋根
李朝の正宮は、景福宮ですので、チャングムの誓いの舞台は主に景福宮となります。
ただし、昌徳宮でもドラマの撮影が行われたそうです。
撮影が行われたのは、宮殿の奥にある秘苑(ピウォン)と呼ばれる庭園。
この秘苑は、自然をそのまま活かして造られた庭園で、韓国造園技術の粋とされるものです。
けれども、この秘苑は自由観覧が不可で、解説者のガイド付き観覧のみが可能となっています(所要2時間)。
時間がない私はあえなく断念。
むちゃくちゃ暑かったこともあり、2時間も歩き回る気力が萎えていたのも理由なのですが・・・。
秘苑は見事な庭園だそうで、特に紅葉で色づく季節は最高であるとのこと。
写真は、昌徳宮の正殿である「仁政殿(インジョンジョン)」。
ここで、王の即位式、臣下の朝礼式、韓国使臣の接見など、国の重要行事が行われたのだそうです。
「宣政殿(ソンジョンジョン)」
写真は、「宣政殿(ソンジョンジョン)」
王の公式な執務室だったそうです。王と臣下が議論をしたり、儒生の試験会場や宴会の場でもあったと言われています。
この宣政殿には、貴重で費用がかかる青い瓦が用いられています。
宣政殿は、韓国で唯一の青い瓦で造られた宮殿であるとのこと。
ドラマ「チャングムの誓い」は、実際の史実に基づいたものではなく、ほぼフィクションであるそうですが、同じような権謀術数は実際に行われていたのでしょう。
そんな李朝時代の権力闘争に思いを馳せながら、昌徳宮を観て回るのも面白いものです。
と、言いつつ、自分は「チャングムの誓い」、数回観たことがあるだけで、あまりしっかりと観ていないんです。
旅行時期:2010年8月
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