南米ボリビアの町「ラパス」。この町は標高3,650m、世界最高所にある首都と言われています。
今回は、ラパス鑑賞したボリビア黒人音楽「サヤ・アフロボリビアーナ」と、ラパス近郊にある観光名所「月の谷」をご紹介します。
近代的な大都会「ラパス」
「ラパス」の朝。
お気に入りの「アレクサンダーカフェ」でリッチなブレックファストを注文し、ベーコンの乗ったトーストをかじったり、苦味の利いたコーヒーを飲んだりする。
それが私の「ラパス」での日課となっていました。
「ラパス」は近代的な大都会です。
都心には高層ビルが建ち並び、大通りはバスやタクシーで埋め尽くされ、スーツ姿のビジネスマンが街を闊歩しています。
けれども、「ラパス」にはインカ時代からの伝統的な格好をした人々もたくさん歩いています。
三つ編みに山高帽を被った女性や、カラフルなポンチョを引っ掛けた男性が、スーツやジーパンの人々に混じって歩いているのです。
ラパスは伝統と現代が違和感なく同居した、不思議な色合いを持った街でした。
月の谷
私は世界最高所の首都「ラパス」を巡り歩きました。
サン・フランシスコ寺院の前で行われている選挙の演説の様子を眺めたり、メルカド・ネグロの市場をうろつき回って迷ったり、レコード屋を巡りボリビア音楽のCDを物色して回ったり、土器や神像のデザインが面白い博物館を見学したり・・・。
「月の谷」という名所にも行きました。
風で浸食された土壌が月面みたいに見えるということでこの名がついたようです。
ラパスの人々のピクニックポイントとなっているようで、ピクニックに来ている家族がいました。
上の写真が、その「月の谷」です。
サヤ・アフロボリビアーナ
ある日私はラパスの文化センターで「サヤ」という民俗音楽を聴く機会に恵まれました。
「サヤ」とはスペイン人により連れてこられた黒人起源の音楽で、ランバダの原曲のリズムだとも言われているそうです。
ボリビアという国はアンデスの高地のイメージが強い国ですが、「アマゾン」もありますし、コチャバンバやラパス県ユンガス地方など、アンデスとアマゾンの中間に位置する「バジェ」と言われる温暖な地域もあります。
奴隷として連れてこられた黒人たちは高地の暮らしには向いておらず、アマゾンやバジェなどで暮らすようになり、特にユンガス地方では黒人たち独自の文化が生まれ育っていくこととなりました。
そうした黒人たちの中から生まれたのがこの「サヤ」なのです。
ライブは夜、始まりました。
グループ名はよくわかりませんでしたが、私の購入したチケットには、「Afroboliviana de Tocana yel Grupo Tumbao」と書かれていました。
ライブが始まると、大太鼓をそれぞれ抱えた8人の男たちがドンドコドンドコ叩き鳴らしながら入場してきました。
そして、それにアクセントをつける、すりこぎのような楽器をキュルキュルと鳴らす2人の男性が登場します。
このすりこぎは、「ギロ」と呼ばれる楽器だそうです。
ギロのうちの1人はメインヴォーカルでもありました。
ヴォーカルの声量は素晴らしいのひとこと。
セネガルのカリスマ、ユッスー・ンドゥールを思い出しました。
男たちは全員黒人です。
ドンドコドンドコ♪
ノリがよく踊りだしたくなるような音楽が途切れることなく続きます。
しばらくすると、見事な歌声を披露するおばさんのヴォーカリストと10人の踊り子兼コーラス隊が舞台に登場しました。
彼女らももちろん、みな黒人です。
カラフルな衣装を着たコーラス隊は、太鼓のドンドコドンドコというリズムに合わせ、くるくると勢いよく回転します。
その華やかなリズムは、ケーナやサンポーニャを使ったペルー・ボリビアの民族音楽「フォルクローレ」の哀愁を帯びたメロディーとは全く異質のものでした。
アフリカにルーツを持つ黒人のリズム。
ここボリビアで生まれても、黒人たちの魂の中にはアフリカという大地が、そして、そのリズムが宿っているのでしょう。
いくら土地が変わっても、世代が交代しても、リズムや感性というものは民族の血肉となって受け継がれていくものなのかもしれない。
私はこの「サヤ」を聴きながらそんなことを思っていました。
旅行時期:2003年7月
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