メキシコシティ北部、市の中心部から北へ約30分ほど。
地下鉄6号線のラヴィラバシリカ(BASILICA) 駅から徒歩3分の場所に、メキシコ人の大多数を占めるローマ・カトリック教徒にとって最も信仰の篤い寺院があります。
「グアダルーペ寺院(Basilica De Guadalupe)」です。
この地は、メキシコ人だけでなくローマ・カトリック教徒全体にとっても重要な場所。
ここは、バチカン公認の聖母出現の地でもあるのです。
グアダルーペの奇跡とは?
グアダルーペ寺院(旧聖堂)外観
ことの起こりは、1531年。
アステカ帝国の滅亡 から10年が経ったこの年に奇跡が起こりました。
メキシコシティの北にある小さな町グアダルーペに住む先住民フアン・ディエゴは、1531年の12月9日、テペヤックと呼ばれる丘の上を歩いていました。
前日にキリスト教に改宗したばかりだったディエゴは、朝のミサに向かおうとしていたのです。
そんな時、彼の眼の前に、彼と同じ褐色の肌をした女性が現れます。
グアダルーペ寺院(旧聖堂)内部
グアダルーペ寺院(旧聖堂)の内部
グアダルーペ寺院のドーム
彼女は自らを聖母マリアと名乗り、この地に礼拝堂を建てることを司教に伝えて欲しいと、ディエゴに言いました。
司教にこのことを伝えたけれども信じてもらえなかったディエゴ。
そんな彼の前に聖母マリアは再び現れ、この季節には咲かないはずの薔薇の花をディエゴに手渡しました。
ディエゴが司教に薔薇の花を見せると、花を包んでいたマントに聖母マリアの姿が浮かび上がったということです。
これが、「グアダルーペの奇跡」と言われる伝説です。
グアダルーペ寺院の新旧聖堂
グアダルーペ寺院で祈る人々
これは、ディエゴの像でしょうか?
聖母のメダルが出てくる自販機
「グアダルーペの聖母」のレプリカ
1556年、聖母マリアの依頼通り、テペヤックの丘に礼拝堂が建てられました。
この「グアダルーペの奇跡」は先住民の間に広まり、また、この奇跡が起こって以降も、聖母によって重病人の病状が回復するなどのいくつもの奇跡が起こったと言われ、多くの先住民がカトリックに改宗していったそうです。
17世紀には、この奇跡の聖遺物であるディエゴのマントに浮かび上がった「褐色の聖母(グアダルーペの聖母)」は、先住民のみならず、あらゆる階層の信仰を集めるようになりました。
グアダルーペ寺院の広大な敷地
テペヤックの丘から現在の位置に聖堂が移されたのが、1709年のこと。
けれども、約300年を経た現在、旧聖堂は地盤沈下が激しく、聖堂自体がかなり傾いてきています。
もともと、メキシコシティは、アステカ時代に湖だった場所を埋め立てて造られた町なので、地盤が貧弱なのでしょう。
そこで、1976年に、旧聖堂の右側に近代的な新しい聖堂が建設されました。
現在は、ミサなどの行事はほぼ、こちらで行われており、旧聖堂は観光用として使われているようです。
グアダルーペ寺院(新聖堂)外観
新聖堂のステンドグラス
グアダルーペ寺院(新聖堂)の入り口
こちらが、「グアダルーペ寺院(新聖堂)」の外観です。
円盤型で外周がぐるりとステンドグラスで囲まれていて、かなりモダンな造り。
グアダルーペ寺院(新聖堂)の内部
新聖堂の内部です。
祭壇も、天井のシャンデリアも、パイプオルガンも、1970年代的な未来的な雰囲気のデザイン。
訪れた時、ちょうど、ミサが行われていて、聖堂内は参列者でいっぱいでした。
グアダルーペの聖母を見る
新聖堂で礼拝する人
ミサの様子をしばらく眺めた後、いよいよ、メキシコ国民の心の拠り所とも言える「グアダルーペの聖母」を見に行きます。
「グアダルーペの聖母」は、中央の祭壇に掲げられており、その真下が通路になっていて下から見上げることができるようになっています。
聖母を見上げるために、通路の前にはたくさんの参拝客が行列をなしていました。
「グアダルーペの聖母」本物
こちらが、本物の「グアダルーペの聖母」です。
聖母前の通路はベルトコンベアのような動く歩道になっています。
立ち止まって見続けてしまう人が多いため、これが設置されたのだとか。
本当なのかはわかりませんが、この聖母像、ディエゴのマントに浮かび上がった当時から450年もの間、色褪せていないことがすごいですね!
動く歩道を通る大勢のメキシコ人たちが、スマホで写真を撮ったり、真剣に十字を切っている様子が見えました。
グアダルーペ寺院の土産物屋
聖母グッズがたくさん!
新聖堂の脇には、「グアダルーペの聖母」のレプリカがたくさん売られている土産物屋さんがありました。
全部、聖母グッズです!
いろいろなところで礼拝が行われていました。
捧げられたロウソク
聖堂の外にも、聖人などの祭壇がいくつもあり、信者たちがロウソクを捧げたりしてお祈りをしていました。
新聖堂のステンドグラス
モダンなグアダルーペ寺院(新聖堂)の建物
メキシコ人にとって、心の拠り所ともなっている「グアダルーペ寺院」
彼らの崇拝の対象となっている褐色の聖母マリア像は、メキシコという国と、メキシコ人について知りたいなら、絶対に見ておくべきものだと思います。
熱心に祈りを捧げる人々の姿は、メキシコ人にとってカトリックへの信仰がいかに重要なものであるかを、私たちに伝えてくれます。
◆「グアダルーペ寺院(Basílica de Nuestra Señora de Guadalupe)」
- 住所:Villa de Guadalupe, Mexico City, Mexico
- アクセス:メトロ6号線ラヴィラ・バシリカ駅下車
- 開館時間:6:00~20:00
- 料金:無料
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