びっくり!青空の下で微笑む巨大弥勒菩薩と、鬼の形相の男女交合図「リキール・ゴンパ」【インド・ラダック地方】

ラダック リキールゴンパインド・ラダックの旅

※前回の記事→岩山全体がゴンパ!「チェムレ・ゴンパ」から響き渡るラッパの音♪【インド・ラダック地方】

ラダック地方(Ladakh:ལ་དྭགས་)は、インド北西部、ジャンムー・カシミール州のヒマラヤ山脈に囲まれた高地にあります。

ここはチベット文化の西の端。インド領であるラダックは、中国のチベット本土よりも、その伝統文化が色濃く保持されているといわれている場所です。

今回は、リキール・ゴンパです!

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レーから西へ。「下ラダック」のゴンパを巡る

ラダック リゾンゴンパ

レーから西へ。インダス川沿い下流の地域は「下ラダック」と呼ばれます。

険しい峡谷の広がる「下ラダック」には、「上ラダック」に勝るとも劣らない魅力的なゴンパがいくつも点在しています。

 

「下ラダック」はバスの便がよくないため、私はジープタクシーを1日チャーターして周ることにしました。

タクシーオフィスで訊くと、「リキール・ゴンパ」「アルチ・ゴンパ」「リゾン・ゴンパ」の3つの周遊で1,800ルピー(4,860円)であるとのこと。インドの物価を考えると結構な値段です。

けれども、この値段はタクシーの組合で定められている料金なので、決してぼったくられているわけではありません。

 

私のタクシーの運ちゃんは、口髭を生やした無口なナイスガイでした。

こちらから話し掛けないと何も話さず、その返答も必要最小限のものでしたが、いつも笑顔でした。

この日一日、荒涼たる下ラダックの大地をお兄ちゃんとランデブーです。

さあて、出発です!

ラダック リキールゴンパ

レーを出発し、インダス川沿いを西へ西へ。

無口な兄ちゃんの運転で右へ左へと体を揺らしながら、街道をひた走ります。

道中に見える「下ラダック」の景観は、まさにダイナミックのひとこと!

高度は3000mとレーよりも低いのですが、起伏に富んだ景観は見ていて飽きることがありません。

本当に素晴らしい風景でした!

 

レーから約60キロ、街道から少しそれた岩山の谷間に、ゴンパが聳え立っています。

真っっ青な空と目まぐるしく形を変える雲の下に佇む僧房。

「リキール・ゴンパ」(Likir Gompa)です。

ラダック リキールゴンパ

「リキール・ゴンパ」はゲルク派のゴンパ。この辺りでは最も大きなゴンパのひとつなのだそうです。

11世紀の創建と伝えられ、座主はダライ・ラマ14世の弟、ンガリ・リンポチェ。

約80名ほどの僧がここで修行をしているとのこと。

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「リキール・ゴンパ」では、金ピカのチャンパ大仏(弥勒菩薩像)が青空の下で光り輝いておりました!

ラダック リキールゴンパ

これは、チャンパ(弥勒菩薩像)。高さ22.5mもあるそうで、建造は1998年と比較的新しいものです。内部にはたくさんのお経が入っているらしいですよ。

ラダック リキールゴンパ

大きな台座に腰掛けたチャンパ大仏。

チャンパ大仏は、微妙なしかめっ面をしながら遠くを見つめていました。

 

蒼く吸い込まれそうな空、燦燦と降り注ぐ陽光。それを浴びてキラキラと輝く金ピカのチャンパ・・・。

最高にシュールな光景です。

ラダック リキールゴンパ

「リキール・ゴンパ」には、いくつか見学できるお堂があります。

私はサングラスを掛けた若い坊さんの案内のもと、それらを見て周りました。

ラダック リキールゴンパ

お堂の内部です。 お堂には極彩色の派手な壁画が一面に描かれておりました。

ラダック リキールゴンパ

古ぼけた貴重なものと思われる「タンカ」や曼荼羅もいくつも垂れ下がっています。

お釈迦様もたくさんいて、にこやかに微笑んだりしかめっ面をしたりしていました。

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鬼の形相をした男女交合の仏画

ラダック リキールゴンパ

壁画には様々な仏教説話や行者などの伝説が描かれていましたが、 中でも興味深かったのが男女交合の仏画です。

多くの手を持った鬼の形相をした仏が女性を抱いているこの図。

キリスト教やイスラム教などでは考えられない世界がここには広がっていました。

ラダック リキールゴンパ

インド後期密教から派生したチベット仏教では、性行為を使う瞑想法が実践されていたそうです。

ヨーガ瞑想法の発展により、性秘儀はタブー視から解放されました。

体にある(チャクラ)に神経を集中し、そこに集まったエネルギーを頭頂に導くことで、梵我一如(ぼんがいちにょ)へと達することができるといいます。

そのエネルギーを得るには、性秘儀によって下半身のチャクラを熱することが効果的と考えられたのです。

 

けれども、出家者が性行為をすることは戒律に反します。

しかし、悟りを得るためには性行為が必要。

そのため、ゲルク派の開祖ツォンカパは、イメージだけで性行為を行うことを定めたのだそうです。

ラダック リキールゴンパ

それにしても、俗の極致ともいえる性行為を聖なるものへと転化させるそのコペルニクス的転換には驚かされます。

私たち凡庸なる民にはちょっと理解が難しいです。

 

けれども、このあまりにあからさまな壁画を見ていると、

「果たして凡庸なる民はこの壁画を見て真の意味を理解できるのだろうか。間違った解釈をしはしないだろうか・・・」 と、余計な心配をしたくなってきます。

聖の極致に誘われるか、俗の極致に転落するか。 紙一重の絵と教えですね。

ラダック リキールゴンパ

ひと通りゴンパを見学し終わった私は、石段に腰掛け昼飯を食べることにしました。

巨大な金ぴかのチャンパ仏を眺めながら「ジャーマン・ベーカリー」のパンを頬張ります。

 

ジープタクシーの兄ちゃんはいません。

彼とは1時間後にゴンパの前で待ち合わせという約束をしてあったのです。

 

青い空、深閑とした谷間を眺めつつ耳を澄ますと、子供たちのざわめきが聴こえてきました。

隣に小坊主らの学校があるのです。ちょっくら覗いてみると・・・、

広い中庭に袈裟を着た坊さんの姿がたくさんありました!

 

ワラワラと小坊主が寄ってきます。ゲームをしてはしゃいでいる若い僧たちがいます。サングラスを掛け私の姿をじっと見つめる老僧がいます。

ラダック リキールゴンパ

子供たちとじゃれ合いながら、ふと僧坊の方を眺めると・・・、

青空のもと、金色のチャンパ大仏がにこやかに微笑んでいるのが見えました!

 

旅行時期:2003年9月

 

※次の記事→白壁、茶色の窓枠、蒼い空。岩山の中にある修行の場「リゾン・ゴンパ」【インド・ラダック地方】