南インド、タミル・ナードゥの旅、3日目。
チェティナード地方(Chettinad:செட்டிநாடு)の中心都市「カライクディ(Karaikudi:காரைக்குடி)」のホテル「ザ・バンガラ(The Bangala)」に宿泊。
翌日のこの日は、カライクディ近郊の「アッタングディ(Athangudi:ஆத்தங்குடி)」と「カナドゥカタン(Kanadukathan:கானாடுகாத்தான்)」という村を訪れる予定です。
ホテルで車をチャーターし、「チェティナード・マンション」巡りへ
カライクディと70以上の村からなる「チェティナード地方」は、銀行業や貿易業などで豊かな財を成した「チェティヤール」という商人カーストが18世紀頃に建てた数多くの邸宅「チェティナード・マンション」が残されていることで知られています。
その代表的な邸宅が、カライクディの10数キロ北にある「アッタングディ」と「カナドゥカタン」にあります。
今回は、それを見に行きたいと思ったのです。
ガイドブックを見ると、2つの村へはバスでおよそ30〜40分。リキシャでも行けると書かれていたのですが、バスのスケジュールや2つの村間のアクセスなど、いろいろ不安要素がたっぷりだったので、ホテルのマネージャーに相談してみることにしました。
さっそく、マネージャーに聞いてみると、「2つの村は遠いからリキシャでは無理。ホテルで車をチャーターできるからそれを利用しなさい」との回答。
料金はRs.1,800(約3,000円弱)で、アッタングディとカナドゥカタンを巡り、サリー工房やカライクディのアンティーク街にも寄ってくれるとのこと。
うまく売り込みされた感もありましたが、自力で行くのも大変そうなので、ここは素直にチャーターをお願いすることにしました。
カライクディ〜アッタングディ&カナドゥカタンMAP
AM11時頃、マネージャーに手配してもらった車が到着。挨拶もそこそこに、さっそく車に乗り込み、出発です!
上は、カライクディ〜アッタングディ&カナドゥカタンの地図。2つの村はこんな感じの位置関係です。
アッタングディに向かう道中に居たヤギの群れ
チャーターした車のドライバー兼ガイドさんは、髭を生やした背の高い若者。今どきな感じのイケメンインド人青年です。
地元カライクディの出身で英語はまずまず堪能。数年前まではシンガポールに出稼ぎに出ていたのだとか。
既婚されているようで、スマホで可愛い子供と度々会話していました。
車は、チェティナードの赤土の痩せた大地を北へ向かってひた走ります。
まず、最初に向かったのは「アッタングディ」という村。カライクディの北西13㎞ほどの所にある村で、博物館として公開されている立派なチェティナード・マンション「アッタングディ・パレス」があることで知られています。
アッタングディのタイル工房でタイルの制作を見学
アッタングディのタイル工房
「アッタングディ・パレス」に行く前に、ドライバーのお兄さんが立ち寄ってくれたのがタイル工房です。
アッタングディは、タイルの生産で有名なところ。村の人口は約2,000人だそうですが、そのほとんどがタイルの生産に携わっているのだとか。
アッタングディはタイルの生産で有名です。
様々なデザインのカラフルなタイル
タイル工房の様子
タイル工房の様子です。
工房には無数のタイルが並べられていて壮観な感じでした。
アッタングディでタイルの製造が盛んになったのは19世紀のこと。
海外に進出していた「チェティヤール」の人々が故郷に邸宅を建てる際、床や壁面を大量のタイルで飾りました。
当初はドイツやイギリス、日本から取り寄せていたタイルを使っていたそうですが、彼らはその技術を地元に伝え、このアッタングディでタイルを生産できるようにしたのだそうです。
アッタングディのタイル職人
工房に入ると、タイル職人のおじさんが、地元の土とガラス板を使ったユニークなタイル作りの作業を見せてくれました。
チェティナード地方のタイル工房にて【南インド・タミルナードゥ】
ほんの数分で色鮮やかな模様が入ったタイルが出来上がります。
色付けの作業の工程がなかなか面白いです。
なお、この後、タイルに色を浸透させ、乾かす工程があります。
渋い職人さん、タイル作りを体験させてくれました。
速攻で作ってくれたタイルの数々
職人のおじさんが勧めるので、色付けの作業をやらせていただきました。
と言っても、ちょこっと色水を垂らして模様を描いただけですが・・・。
右下のタイルが素人作のタイル。模様がバラバラです(汗)
耐久性に優れ、環境に優しいというアッタングディのタイル。
けれども、保存期間が長くなく、製造に時間が掛かるとのことで、残念ながら現在では需要は低下しているのだそうです。
タイル工房を見学した後は、アッタングディの村へ行き、チェティヤールの邸宅「アッタングディ・パレス」を訪問します。
「アッタングディ(Athangudi:ஆத்தங்குடி)」
「アッタングディ・パレス」の外観
タイル工房から車でほんの数分。「アッタングディ(Athangudi:ஆத்தங்குடி)」の村に到着しました!
通り沿いに建つ巨大な邸宅。これが「アッタングディ・パレス」です。
正式名称は、「アッタングディ・ラクシュミー・ハウス」と言うのだとのこと。
入口には様々な彫像が飾られています。
ヒンドゥー教の神様や馬などの精緻な彫刻が見事
建物の入口には、ヒンドゥー教の神様や馬など、精緻に作られた様々な彫刻が施されていました。
「アッタングディ・パレス」は、博物館として開放されていて年中無休。入場無料です。
さっそく中に入ってみることにしましょう〜♪
「アッタングディ・パレス」の入口
天井にはタイルが嵌め込まれています。
床にもタイルがたくさん!
建物のエントランス部分もリッチな感じ
天井から吊り下げられたアラブ風のランプ
「アッタングディ・パレス」のエントランスです。
天井には華やかなタイルが一面に嵌め込まれ、床には大理石が敷き詰められ、ギリシャ神殿風の柱の上には手の込んだ彫刻が細工されています。
入口からして豪華な感じ★
細密な彫刻の施された扉を抜けて内部へと向かいます。
豪華絢爛!「アッタングディ・パレス」のメインホール
扉を抜けて中に入ると、そこはめくるめく世界★
見てください!この豪華絢爛な応接ホール!
こんな田舎の村に、これほど豪華な建物があるなんて。びっくりです。
天井の装飾がすごい!
2階のバルコニー部分や柱の柱頭も精緻に装飾されています。
床は市松模様の大理石
綺麗に磨き上げられた市松模様の大理石の床。2階のバルコニー部分や柱の柱頭も精緻に装飾されています。
ほんと、豪華なホールです。
応接ホールの壁面には、薔薇や牡丹などの花が描かれた見事な造形のタイルが一面に嵌め込まれていました。
これらのタイルはドイツやイギリス、日本から持ち込まれたものだそうです。
この邸宅は1932年に建てられたものであるとのこと
う〜ん、見事な装飾
応接ホールの天井の装飾です。
まさに、圧巻のひと言。ため息が出る精緻さです。
建物は博物館として無料で開放されています。
こちらは、天井が開放された別のホール
こちらは、天井が開放された、明るい雰囲気のホール。
インド人の観光客が写真を撮っています。
アッタングディ・パレスには、インド人観光客が多く訪れていました。
隅々までタイルで飾られ、贅が尽くされていることが窺えます。
本物の鹿の剥製
食堂として使われたホール。ステンドグラスが鮮やか!
こちらは、食堂として使われていたというホール。
カラフルなステンドグラスの光が鮮やかです。
この床にバナナリーフを敷いて、大勢で食事をしていたのでしょうか。
柱はビルマから取り寄せられたチーク材が使われています。
「アッタングディ・パレス」には50もの部屋があるのだそう。
「アッタングディ・パレス」には50もの部屋があるのだそうですが、そのうち、訪問客が見ることができるのはわずかであるとのこと。
この邸宅を建てた人がどんな人たちなのかは情報がなくてわかりませんが、きっと今でも大金持ちに違いありません。
アッタングディのメインストリートに人が集まっています。選挙があるのだとのこと。
「アッタングディ・パレス」の建物を出ると、メインストリート沿いに人が集まっていました。
ガイドさんの話では、この日、この地域で地元の首長を選ぶ選挙が行われているのだとのこと。
アッタングディの地図
アッタングディからカナドゥカタンへと向かいます。
「アッタングディ・パレス」を見学した後、次の目的地である「カナドゥカタン」へと向かいます。
カナドゥカタンは、アッタングディから8㎞ほど東へ向かった場所にある村。
アッタングディよりも規模の大きな村で、チェティナード・マンションがたくさん建っていることで有名な村です。
「カナドゥカタン(Kanadukathan:கானாடுகாத்தான்)」
カナドゥカタンにある「チェティナード・パレス」
アッタングディから15分くらい。車は「カナドゥカタン(Kanadukathan:கானாடுகாத்தான்)」の村に到着しました!
「カナドゥカタン」は、5,200人ほどの人が住む大きな村(アッタングディの倍以上の人口です)。チェティヤールの邸宅がたくさんあることで知られていて、ホテルとして宿泊できる邸宅もいくつかあります(こことか、こことか、こことか、こことか)。
たくさんある邸宅の中でも最も大きなものが、上の写真の「チェティナード・パレス」と呼ばれる邸宅です。
チェティナード地方にある邸宅の中で一番大きなものであるとのこと。
この「チェティナード・パレス」、チェティナード地方にある邸宅の中でも、最も大きな建物であるのだとのこと。
ただし、内部は非公開。残念ながら中に入ることはできません。
内部は非公開。上の写真は門から中を写したもの
まさに、宮殿といった感じの建物
カナドゥカタンには豪邸がたくさんありますが、ひときわ目を引きます。
中に入れないのがつくづく残念!
まさに、宮殿かお城かといった感じの建物。どこからどこまでが敷地なのかわからないくらい巨大です。
きっと、内部はとても豪華なのでしょう。
中に入れないのがつくづく残念です。
カナドゥカタンの瀟洒な家並み
のんびりとしたカナドゥカタンの風情
「チェティナード・パレス」の外観をひと通り眺め見た後、ガイドさんは村にある別の邸宅に案内してくれました。
こちらの邸宅は、宿泊している「ザ・バンガラ」の主人が所有している建物
こちらの邸宅は、カライクディで宿泊しているホテル「ザ・バンガラ」の主人が所有している建物であるとのこと。
邸宅の中に入らせてもらいました。
さっそく邸宅の中に入らせてもらいました。
ガイドさんの話によると、現在ここを住処としている人はおらず、一族はそれぞれ、海外か国内の他の土地に住んでいて、たまに帰郷した時にこの家に宿泊するのだそう。
ビルマ産のチーク材で作られた扉
物凄い手の込んだ彫刻が彫られています。
アッタングディ・パレスに比べると見劣りしますが、建物の随所に贅を凝らした装飾が見受けられます。
ビルマ産のチーク材で作られたというこの扉もかなり豪華!
こちらは食堂として使われたホール
柱の柱頭彫刻の造形が見事!
煉瓦色の瓦屋根が味があります。
こちらは、キッチンとして使用されたかまど
内部は簡素でかなり古びていましたが、19世紀の当時は高価な家具などが並び、一族が優雅に暮らしていたのでしょう。
カナドゥカタンには、チェティヤールの邸宅がたくさんあります。
こんな田舎の村に豪壮な邸宅がたくさん並んでいるのはちょっと驚きです。
広い碁盤目状の街路で区画されたカナドゥカタンの村。
少し歩いただけで、立派な邸宅が数多くあることが窺えます。
こんな田舎の村に豪壮な邸宅がたくさん並んでいるのはちょっと驚きです。
カナドゥカタンのサリー工房を見学
カナドゥカタンのサリー工房を見学
チェッティヤールの邸宅を見学した後、ガイドさんは、カナドゥカタンの村にあるサリー工房に連れて行ってくれました。
チェティナード地方は、「カンダンギ(Kandangi)」と呼ばれるコットンサリーの生産でも知られています。
伝統的なカンダンギサリーは、綿を素材とし、マスタード、赤レンガ色、オレンジ、茶色など、鮮やかな暖色系の色が主に用いられ、チェック柄やテンプルボーダー柄などのパターンが多用されるのが特徴。
チェティナード地方の織物工房にて【南インド・タミルナードゥ】
チェティナード地方はサリーの色や柄が独特なことでも知られています。
サリー工房では、女性の職人さんたちが伝統的な織機を使って鮮やかなカンダンギサリーを織っていました。
少なくとも250年以上も前から、このスタイルのサリーはチェティナード地方で作られてきたのだとのこと。
正確で素早く、とても器用に織りの作業を行う女性たち。
まさに、職人技とはこのことです。
カナドゥカタンの地図
サリー工房を見学した後、カナドゥカタンの村を出発。
ホテルのあるカライクディの町へと戻ります。
カライクディのアンティークショップ街
カライクディのアンティークショップ街
カナドゥカタンから車に乗って30分ほど。カライクディの町に戻ってきました。
ここで、ツアーの最後の目的地であるアンティークショップ街を訪れます。
カライクディの町には、チェティヤールの人々が海外から持ち込んだ膨大な数のアンティークを売る店がたくさんあります。
チェティヤールたちが海外から持ち込んだアンティークが売られています。
一番品揃えが豊富な「Raghavendra Arts」というお店
上の写真のお店は、アンティーク街の中の数あるお店の中でも一番品揃えが豊富な「Raghavendra Arts」というお店。
ズラリと並べられたホーロー食器が壮観です!
これらのホーロー食器はチェコなど東欧で作られたものが多いのだそう。
家具や照明、金庫、チーク材の柱まで売られています。
店内には、家具や照明、金庫、チーク材の柱まで売られています。
すべて19世紀にチェティヤールたちによって、ビルマやインドネシア、イタリア、ベルギー、東ヨーロッパ、日本など、世界中から持ち込まれた品々です。
店主さんによると、こちらのタイルは日本製であるとのこと。
チェティナード・マンションの壁に嵌め込まれていたタイルも売られていました。
店主さんの話によると、こちらのタイルは日本製であるとのこと。
アンティークの物色に時間がかかってしまうということで、ドライバー兼ガイドさんとはここでお別れすることにしました。
ホテルまでは自力で歩いて帰ることにします。
兎にも角にも、いろいろ案内してくれて感謝です★
カライクディの街並み
アンティーク街を歩き回り、結局、ホーローの食器をいくつか購入しただけでしたが、戦利品獲得ということで、歩いてホテルへと戻ります。
水汲みをしていた女の子たち
通り沿いにあった雑貨屋さん。ここでポテチやインドスナックなどを購入
掃除用具がたくさん吊り下げられて売られていました。
ホテル「ザ・バンガラ(The Bangala)」に戻ってきました。
埃っぽいカライクディの町をぶらぶら歩き、程なくして宿泊しているホテル「ザ・バンガラ(The Bangala)」に到着!
チェティナード・マンションを巡るプライベートツアー、大満足できました♪
時刻は午後3時頃。昼ごはんを食べていなかったので、雑貨屋で購入したスナックなどを食べて小腹を満たしました。
ホテルで少し休んだ後、早めの夕食を食べに、カライクディの中心街へと向かいます。
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