19世紀末、スペインにはモデルニスモと呼ばれる芸術運動が起こります。この新しい運動に触発された芸術家たちは、多くの装飾的建築物をこのバルセロナに建てました。
「アントニオ・ガウディ」(カタルーニャ語でアントニ・ガウディ・イ・コルネ)は、その代表的な存在です。
今回は、バルセロナにある「ガウディの建築物」をご紹介します。
深海をイメージしたというモデルニスモの代表作「カサ・バトリョ」【世界遺産】
まず、最初に訪れたのが「カサ・バトリョ」です。
この建物はもともと1877年に建てられたのですが、ガウディによって改装されました。
イメージは深海だそうです。曲線を多用した独特な外観、壁にはたくさんの青い色ガラスやタイルが埋め込まれており、太陽の光を浴びるとキラキラと輝きます。
屋根の上には竜を模ったデザインが施されていました。
内部もとても工夫されていて、窓や扉のデザインや開き方、部屋の間取り、階段の装飾なども、とても面白いものです。
残念なことに訪問した時は内部の写真撮影が禁じられていたので、ここで紹介することができません。
「カサ・バトリョ」の隣に建つ、プーチ・イ・ガダファルク作の「カサ・アマトリエール」
ギザギザのファサードの形が素敵で、「カサ・バトリョ」とは、また違った魅力があります。
直線部分を一切持たない、山をモチーフとした邸宅「カサ・ミラ」【世界遺産】
こちらは、「カサ・ミラ」
目抜き通りの角にこんなインパクトのあるデザインの建物があるのでびっくりします。
この建物が建設されたのは1906年から1910年にかけてのこと。山をモチーフとしたデザインで、建物に直線が一切使われていないのが特徴です。
その形状から「ラ・ペドレラ(石切り場)」と呼ばれているそうです。
現在はガウディの代表作のひとつとして人気のこの建物ですが、建築当初は大変評判が悪かったようです。
現在は1階が貸店舗、2階が家主の住まい。それ以外はアパートと博物館になっています。
屋上に上がるとこんな風になっています。
あのニョキニョキ立っているものは煙突です。騎士の仮面をモチーフとしているようです。
建物は、円と楕円の中庭を囲んだ、吹き抜けを持つ構造です。
煙突だけではなく、こんなキノコみたいなオブジェも立っています。
ガラスの瓶がたくさん埋め込まれていますね。
四つ並んだ煙突です。表情が合唱しているみたいで面白いですね。
「カサ・ミラ」の吹き抜けです。
この屋上からはサグラダ・ファミリアが見えます。建物の中にはガウディの博物館があって、色々な模型が展示されていました。
自然と芸術の融合。ガウディの夢を具現化した「グエル公園」【世界遺産】
「グエル公園」です。
「グエル公園」はもともと、エルセビオ・グエル伯爵の依頼でガウディが設計した分譲住宅の一部でした。
しかし、60戸あった住宅は、ガウディとグエルの購入した2個以外全く売れず、グエルの死後、市に寄付されたのだそうです。
高台にあってバルセロナ市街を一望できるこの公園は、現在市民の憩いの場として親しまれています。
「グエル公園」は、ドーリア式の柱に支えられた、ぐねぐねと波打つベンチが有名な空中庭園です。
この公園、かなりの高台にあるため、登ってくるのが結構大変なのですが、眺めは素晴らしいのひと言。
公園の天井はよく見ると細かなモザイク張り。
前衛的な雰囲気。
これは公園内にある回廊。ごつごつとした岩を組み合わせた不思議な回廊です。
回廊の下はこんな風になっています。体が傾いていきそうな不思議な感覚を覚えます。
公園の入り口にはトカゲの噴水があります。
色とりどりのモザイクで造られたカラフルなトカゲです。
この2つの建物は住宅の管理人棟として建てられたものだそうです。
本当にお伽の国の家って感じです。
現在は売店になっているとのこと。
130年間建設し続けているバルセロナのシンボル「サグラダ・ファミリア」【世界遺産】
1882年に着工された「サグラダ・ファミリア」は、翌83年からガウディが建築の担当となりました。
ガウディは設計を一からやり直し、1926年に路面電車に轢かれて亡くなるまで、生涯この建物の製作に打ち込んだのだとのこと。
この建物には詳細な設計図というものがなく、模型や、紐の中心におもりを付けた実験道具しか残っておらず、弟子たちが作成した資料もスペイン内戦で灰となってしまいました。
それにこの教会は、建築資金が全て寄付によって賄われています。
資金難のため工事が中断したことも多く、130年以上経った今も完成していないのです。
通りから見た「サグラダ・ファミリア」の外観です。東(生誕)と西(受難)のファサードが完成しています。
残りは南(栄光)のファサードと屋根、聖堂の中央には高さ150mの尖塔が建つそうです。
生誕のファサードです。
写真の右下にハープを弾く天使像がありますが、これは日本人彫刻家、外尾悦郎氏の作だそうです。
生誕のファサードのステンドグラス部分です。
受難のファサードです。とうもろこしの食べ残しのような尖塔が建っています。
下の部分はモダンな感じですね。
左は受難のファサードの柱。
右は塔の上部から向かいに見えた他の塔を写しました。
バルセロナの街を見下ろします。遠くには海が見えます。
尖塔の上部は色とりどりのモザイクで飾られていました。
右は建築中の内部の様子です。苺みたいな飾りが面白いですね。
教会の内部。なんだか宇宙的な感じがする空間です。
100年前にこれを考え出したのだからすごい!
上から尖塔を見ます。工事の真っ最中です。
「サグラダ・ファミリア」は街のどこからでも見ることができます。
旅行時期:2003年4月
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