東急田園都市線・世田谷線の三軒茶屋駅から徒歩2分ほど。下北沢方面へと伸びる茶沢通りから左手に入ったビルの7階に、中国湖南省料理のお店『香辣里(シャンラーリー)』はあります。
2018年6月にオープンしたこのお店、東北地方の羊肉料理店『羊香味坊』や東北大鍋料理『味坊鉄鍋荘』、北京式大衆酒場『老酒舗』などを都内各所に次々とオープンさせた中国地方料理トレンドの仕掛け人、梁宝璋氏率いる「味坊集団」が経営するお店。
日本ではまだ珍しい、本格的な湖南料理をいただけるということで注目を集めているお店です。
中国八大料理のひとつ、湖南料理を味わえるお店
『香辣里』はこのビルの7階
湖南菜『香辣里』
中国・湖南省の郷土料理。ハーブ中華!発酵中華!!スパイス中華!!!
お店は、このビルの7階にあります。ビルには韓国料理店や和ダイニングのお店、グリルバーなどがあります。
お店の案内板には「中国・湖南省の郷土料理。ハーブ中華!発酵中華!!スパイス中華!!!」の文字が!期待が高まります♪
さっそく、エレベーターに乗って7階へと向かいます。
『香辣里』の店内
こちらが、『香辣里』の店内です。
お店は日曜日のディナータイムに訪問。人気があるというので予約して行きました。
店員さんは、全員中国出身の方である様子。
店内は簡素だけどお洒落な雰囲気
オススメの黒板メニュー
店内は簡素だけどお洒落な雰囲気。
店内スペースはそれほど広くはありませんが、座席の間隔が広く、ゆったりとしています。
座席数は、テーブル席のみで64席。食べている間に座席はほぼ埋まりました。
お客さんは日本の方が多い感じ。
席に座り、さっそくメニューを見てお料理を選びましょうか〜♪
酸辣・鮮辣・香辣。発酵中華・燻製中華・ハーブ中華
湖南料理について
日本ではまだメジャーではない湖南料理のお店ということで、メニューには湖南料理についての説明が書かれていました。
ここで、湖南料理について、ちょこっとご紹介。
湖南料理とは?
湖南料理とは、中国南部、長江の中下流域にある湖南省で食べられている料理のこと。中国八大料理(山東料理、江蘇料理、浙江料理、安徽料理、福建料理、広東料理、湖南料理、四川料理)のうちのひとつとして知られ、中国では「湖南菜(フーナンツァイ)と呼ばれています。
四川料理と同様に唐辛子を多用した辛い味で知られていますが、四川料理と違うところは、辛味に加えて酸味が効いていること。
痺れるような辛さがある四川料理は「麻辣」と呼ばれますが、それに対して、酸味を加えた辛さのある湖南料理は「酸辣」と呼ばれています。
また、中国で一番辛い料理と言われることもあり、その鮮烈な辛さから「鮮辣」と呼ばれたり、香り高く辛い味付けから「香辣」と呼ばれることもあるのだとか。
お店のメニューの説明によると、湖南料理には、辛さと酸味のほかにも際立つ特徴が3つあるのだそう。その3つとは、
- 「発酵中華」であること。
- 「燻製中華」であること。
- 「ハーブ中華」であること。
発酵中華
発酵中華
湖南省は、冬は寒く、夏は高温多湿な日本にも似た気候のため、発酵食品を作るのに適しています。
湖南省では、発酵させた食品を加熱調理したり、唐辛子なども発酵させて調味料として駆使するのだとのこと。
燻製中華
燻製中華
湖南省では、毎年冬になると、豚肉をはじめ、鷄や鴨、魚なども燻製にして作り貯めるのだそう。
その燻製を加熱調理し、料理に駆使するのが湖南料理の特徴なのだそう。
ハーブ中華
ハーブ中華
湖南料理では、パクチーや紫蘇の葉、セロリ、どくだみ、ミント、山胡椒(レモングラスのような香りのする柑橘)など、様々なハーブが多用されます。
このハーブ類を加熱調理して使うのが湖南料理の特徴です。
さて、湖南料理の特徴を見たところで、メニューから注文するお料理を選んでいきます。
『香辣里』のメニュー
「剁椒魚頭(鯛の頭の発酵唐辛子蒸し)」
「秋葵米豆腐(オクラと餅の湖南風サラダ)」
「炒腊肉(燻製豚三枚肉と葱の炒めもの)」
「湘味三大坛(手詰め蒸しパンと3種のおつまみ)」
メニューに並んでいる料理は、どのお料理も食べたことないものばかり。
どれも美味しそうで迷った挙句、↓のお料理をチョイスすることにしました。
- 秋葵米豆腐(オクラと餅の湖南風サラダ) 700円
- 炒腊肉(燻製豚三枚肉と葱の炒めもの) 1,000円
- 湘味三大坛(手詰め蒸しパンと3種のおつまみ) 1,200円
- 剁椒魚頭(鯛の頭の発酵唐辛子蒸し) 1,500円
他にも、燻製豚バラ肉の炒飯とか、毛沢東の好物だったという湖南風の豚の角煮とか、魅力的な料理がいろいろあります。
注文を済ませ、お料理が運ばれてくるのを待ちます。
美味♪燻製の旨味が詰まった「炒腊肉」、発酵唐辛子の深みのある辛さがたまらない「剁椒魚頭」
「グラスワイン(白)」
まずは、お飲み物。
今回は、ビールではなく、「グラスワイン(白)」を注文しました。
さっぱりとしたお味が酸辣に合いそう★
ちびちび飲みながら待っていると、程なくしてお料理が登場!
「秋葵米豆腐(オクラと餅の湖南風サラダ)」700円
「秋葵米豆腐(オクラと餅の湖南風サラダ)」です。
米豆腐とは米粉で作るお餅のこと。自家製の米豆腐と茹でたオクラを、酸味を利かせた醤油ベースのソースでお召し上がりいただきます。発酵させた唐辛子の漬物を少々添えてご提供しております。
赤いスープの上にオクラがニョキニョキ生えたような面白いビジュアル。
味がないジャガイモのような食感の米豆腐と、シャキシャキねばねばした茹でたオクラが、ピリ辛の醤油ベースの冷製スープの中に入っています。
酸味と醤油の旨味が米豆腐とオクラの食感にマッチしてなかなかの美味しさ★
「炒腊肉(燻製豚三枚肉と葱の炒めもの)」1,000円
続いて運ばれてきたのが、「炒腊肉(燻製豚三枚肉と葱の炒めもの)」です。
腊肉(ラーロゥ)と呼ばれる燻製肉を、葱とともに炒めた一品。腊肉(ラァロウ)とは豚や鶏や鴨などの肉の燻製のこと。いわば中国版のベーコンですが、これらの燻製肉を調理に使うのが湖南料理の特徴。燻香を帯びた料理の味わいはワインにも寄り添います。当店では燻製肉を自家で製造しています。腊肉(ラーロゥ)は炒め物だけでなく、煮物や蒸し物などのさまざまな料理に使われます。塩漬けにしてから燻製して作られる腊肉、その塩味と燻香とが、料理にとって調味料としても機能するのです。
この「炒腊肉」が後を引く美味しさで、かなり気に入りました♪
燻製豚が美味い!
燻製の旨味が閉じ込められた「腊肉」は噛み応えのある食感で、噛むごとに燻香と旨味が滲み出てくる感じ。ネギやピーマンなどのお野菜の食感と、唐辛子のピリ辛さが見事なマッチング♪
湖南料理の奥深さを味わえる、すごい一品です★
「湘味三大坛(手詰め蒸しパンと3種のおつまみ)」1,200円
インパクトのあるビジュアルのお料理が運ばれてきました♪
「湘味三大坛(手詰め蒸しパンと3種のおつまみ)」です。
3種の漬物を蒸しパンに乗せて食べる料理。大豆を発酵させた腊八豆(ラーパードゥ)を発酵唐辛子で炒めたもの。細いインゲン豆を塩漬けにして発酵させた「酸豆椒(サンドウジャオ)を豚三枚肉の腊肉とともに炒めたおつまみ。
こちらも面白いお料理。ほんのりと甘味のあるほどよい硬さの蒸しパンは真ん中に穴が空いていて、ここに3種のおつまみを入れていただきます。
香ばしい蒸しパンの中に発酵おつまみを入れていただきます。
3種のおつまみはそれぞれ湖南料理らしい発酵or燻製を駆使した個性的な味で、個別に入れても、3種をブレンドして入れても美味しい♪
味わい的には、日本のお焼きのような感じ。
「剁椒魚頭(鯛の頭の発酵唐辛子蒸し)」1,500円
そして、最後に登場したのが、本日のメインの一品、「剁椒魚頭(鯛の頭の発酵唐辛子蒸し)」です。
剁椒(トゥジャオ)とは叩き潰した唐辛子を塩や塩水で発酵させた辛味の強い調味料。深みのある辛さが特徴です。これを鯛の頭や紫蘇の葉と一緒に蒸して仕上げるのが「剁椒魚頭(トゥジャオユィトウ)」。湖南料理を代表する名物料理です。魚を食べた後は、極太のビーフンをお皿に加え、発酵唐辛子の溶け込んだ蒸し汁とよく和えてお召し上がりください。紫蘇がバジルのような香味をたたえ、ピリ辛の魚介パスタのような味わいをお楽しみいただけます。
※太ビーフン付き(ビーフンは1椀300円でさらに追加いただけます)
魚の頭を唐辛子を発酵させた調味料で蒸した湖南料理を代表する名物料理。
これも抜群に美味しかったです♪
深みのあるピリ辛の剁椒(トゥジャオ)と紫蘇の香味
鯛の頭の柔らかくあっさりとした白身に、発酵唐辛子の奥深い辛さと酸味が沁み込んでいて、食べたことのないようなお味。紫蘇の香味もいい味出しています。ニンニクや生姜、豆豉など色々なスパイスも入っている様子。
極太のビーフンをスープに絡めていただきます。
お魚をいただいた後は、極太のビーフンをスープに絡めていただきます。
締めの極太ビーフンです★
この、程よくコシのある極太ビーフンが、メニューの説明にもあるように、パスタみたいな感じで、新鮮な美味しさ♪
剁椒の溶けたピリ辛の蒸し汁に、パスタっぽいビーフンとお魚、玉ねぎ、えのきなどの具材のお味が合わさって、いくらでも食べたくなる感じ。
「黒ゴマアイス」と「マンゴープリン」528円
食後のデザートは、「黒ゴマアイス」と「マンゴープリン」を注文しました。
黒ゴマの風味が滋味深い「黒ゴマアイス」、濃厚でほどよい甘さの「マンゴープリン」。どちらも美味しい♪
「福建紅茶」440円
デザートと一緒にいただいたお飲み物は、「福建紅茶」
仄かに渋みのある烏龍茶っぽい紅茶。飲みやすくて美味しかったです。デザートのお供にぴったり♪
『香辣里』
三軒茶屋にある中国湖南省料理のお店『香辣里』
辛味と酸味の効いた「酸辣」、発酵と燻製とハーブを駆使した湖南料理は、これまで食べたどの中華料理とも違う鮮烈かつ奥深いお味。日本人のお口にも合います♪
燻製の旨味が詰まった「炒腊肉」や、発酵唐辛子の深みのある辛さがたまらない「剁椒魚頭」など、創意工夫に満ちた美味な湖南料理を堪能できるお店です。
◉『香辣里(シャンラーリー)』の地図・アクセス
- 住所:東京都世田谷区太子堂4-23-11 GEMS三軒茶屋 7F
- アクセス:三軒茶屋駅から117m
- 営業時間:[平日]11:30~15:00/17:00~23:00 [土]11:30~23:00 [日・祝] 11:30~22:00
- 定休日:無休
- 予約:『香辣里』のネット予約はこちら(ホットペッパーグルメ)
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