ペルーやボリビアなどのアンデス高地では、インカを始めとした古代アンデス諸文明の時代から美しい手織り布が作られてきました。
綿や羊毛、リャマやアルパカ、ビクーニャなどの毛を用い、複数の色糸で模様を作りだす「アワヨ」という布は、現在でも地元の人々が日常的に使用する万能布。
アンデス高地に伝わる万能布「アワヨ」で作られたマンタ布
写真の「マンタ」は主に女性が用いる一枚布。布の真ん中に穴が開いていて頭から被れるようになっているのは、「ポンチョ」と呼ばれます。
このマンタは、ボリビアのウユニで購入したもの。
15ボリビアーノ(2ドル程度)でした。
夜行列車に乗るための寒さ対策として購入しました。
おそらく機械織りだと思われます。
左の写真は、ペルーのクスコに居たおばちゃん。
ペルーでもボリビアでも、先住民族系の女性たちは、マンタの中に持ち物を入れ、こうして背負って歩いていました。
右の写真は、アワヨ布が溢れるペルー、チンチェーロの市です。
アワヨは、マンタやポンチョだけでなく、バッグやポーチ、帽子や手袋などに加工され、街の土産物屋やこうした市で売られていました。
ペルー、チチカカ湖に浮かぶ島、タキーレ島の織物ベルト
チチカカ湖の島、タキーレ島。
この島は織物技術で有名な島です。
古代アンデスそのままの純粋なケチュア人が住むというこの島では、繊細な模様とカラフルな色彩を持つ美しい織物が人々によって織られています。
彼らが織る布は、インカやそれ以前の古代アンデス文明の時代から引き継がれてきたもの。
この島の工房で、私は、写真の織物ベルトを購入しました。
15ソル(870円)です。
この島の織物技術は、ユネスコの「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」(無形版の世界遺産)にも登録されています。
ユネスコのHPによると、
「全ての織物は、スペイン征服以前から引き継がれている据え置き型の足で踏むタイプの織機で織られています。典型的な服飾品はチュリョと呼ばれている耳覆い付き帽子と儀式や農耕作業と関連した一年の流れを描いた暦付きの広巾のベルトです。この暦付きベルトは、コミュニティとその歴史に関する口承伝統の貴重な資料として、多くの研究者の関心を集めて来ました。タキーレ織物のデザインは、新しい現代的なシンボルやイメージも取り入れる一方で、伝統的なスタイルや技術も維持されています。」
とのこと。
タキーレ島
話によると、この島では、女性の服は男性が編み、男性の服は女性が編むのだそうです。
広場の片隅には、腰掛けた男性が日向ぼっこをしながら縫い棒と毛糸を小刻みに動かしていました。
この島は、湖の外部とは隔絶されており、半世紀ほど前までほぼ孤立した自給自足に近い生活を送っていたそうです。
現在では、観光客も入るようになり、織物の販売や観光客へのサービスなどが彼らの大きな収入源となっているのだとのこと。
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