『バーフバリ』シリーズを超えて
創造神S.S.ラージャマウリの新たな伝説が幕を開ける!
RISE(蜂起)ROAR(咆哮)REVOLT(反乱)
最高濃度の映画体験(エネルギー)を全身で浴びろ!
「バーフバリ」シリーズの生みの親「S.S.ラージャマウリ」が満を持して送り出した超大作!
インドにおける映画興行記録を次々と塗り替えたテルグ映画「バーフバリ」2部作(『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』。
インド本国のみならず、全世界で大旋風を巻き起こし、日本でも大きな話題を集めたインド映画史上に残る大作です。
その「バーフバリ」シリーズの生みの親「S.S.ラージャマウリ」が満を持して送り出したのが、本作「RRR(アールアールアール)」です。
映画『RRR』は2022年3月25日に公開。インド映画史上最大の製作費7200万ドル(約97億円)をかけて作られた本作は、全世界1万スクリーン以上(インド映画史上最大規模)で上映され、興行収入は全世界で1億6000万ドル(約220億円)超え!!
第47回サターン賞ではインターナショナル映画賞も受賞しています。
日本でも2022年10月21日に劇場公開が開始され、44都道府県の209スクリーン、31IMAXスクリーンで上映予定で、これはインド映画としては歴代最大であるとのこと。
日本におけるインド映画ブームの起爆剤となり得る大作『RRR』。劇場で鑑賞してきましたのでご紹介します★
ビームとラーマ、2人の最強の男の友情・使命・運命
※ここからはちょっとネタバレ含みます。
物語の舞台は1920年、英国植民地時代のインド。
英国軍にさらわれた幼い少女マッリを救うため立ち上がった、ゴーンド族の守護者ビーム(N・T・ラーマ・ラオ・Jr.)。
そして、英国政府の警察官として、デモ隊の大群衆に単身で飛び込み、首謀者を逮捕する功績を挙げたラーマ(ラーム・チャラン)
この2人が映画の主人公です。
デリーに乗り込み、ムスリムの「アクタル」に扮してマッリの行方を探すビーム。そのビームの捜索の担当捜査官に就任したラーマ。
物語の前半は、対立関係にあるビームとラーマが出会い、お互いの素性を知らぬまま親交を深め、ある出来事をきっかけにお互いの正体を知り、決裂していくまでの話。
↓の動画は、映画序盤のハイライト、ビームとラーマ、2人の出会いのシーンです。
鉄道事故により川の中に取り残され、炎に包まれそうになっている少年を協力して救助するビームとラーマ。
初対面なのに、一言も言葉を交わさず、アイコンタクトだけでこの作戦を実行するのがかなり強引!
でも、その強引さを、壮大でスピード感溢れるアクションで有無を言わさず押し通してしまうところが、インド映画っぽくていいです★
その後、ビームとラーマは親交を深め、無二の親友といった仲になっていきます。
親交を深め合う場面での見どころが、インド総督公邸でのダンスのシーン(↓の動画)
いろいろあって、ビームとラーマはインド総督公邸のパーティーに参加するのですが、そこで、イギリス人貴族に「お前らインド人はダンスが出来ない」といちゃもんを付けられたビームが「サルサやフラメンコはできないが、ナートゥはできる」と対抗。
怒涛のダンスバトルが始まります!
「ナートゥ(Naatu Naatu)」とは、南インドのフォークダンス・音楽のスタイルを取り入れつつ、アップビートにしてダイナミックさを加えたダンスのこと。Naatuはテルグ語で“地元”“ワイルド”の意味だそうです。
植民地の支配者として偉そうにしているイギリス人をダンスでやっつける!
痛快なシーンです★
映画前半のクライマックスは、ビームが少女マッリを救出するため、インド総督公邸に乗り込んでいくシーン(↓の動画)。
大量の猛獣と一緒に突入するビーム。このシーン、かなりインパクトあります!
この公邸での場面で、救出者であるビームと、その彼を逮捕する任務を持ったラーマが対峙し、2人の関係が決裂します。
ビームは、ラーマによって逮捕され、その後、ラーマはイギリス総督スコットの指示により、ビームに激烈な拷問を加えることとなるのです。
スクリーンの前の観客の気持ちは、「裏切られたビームが気の毒」「ラーマはなんてひどい奴なんだ!」という感じですが、実はラーマには、こうせざるを得ない理由、秘められた大義があったのです(回想シーン始まり)。
ここからが物語の佳境!
続き・詳細は、ぜひ、劇場でどうぞ!
3時間の上映時間があっという間!超弩級のエンターテイメント作品
インド映画史上最大級の大作である『RRR(アールアールアール)』
この映画の魅力は、何と言っても、その息も吐かせぬ濃密なストーリー展開と、矢継ぎ早に繰り広げられる圧倒的な見せ場。そして、目が釘付けになってしまうような超弩級のアクション!
イギリス植民地支配からの解放運動というインド近現代史を扱った本作品ですが、監督・脚本を務めたS.S.ラージャマウリは、この重厚なテーマを最高のエンターテイメント作品に仕上げてくれました♪
映画の上映時間は、182分(日本では179分)と3時間の長丁場。
けれども、全く飽きさせず、あっという間にエンディングまで突っ走ってしまう感じ。
観る前はトイレを心配してしまいましたが、トイレに行くのも忘れるほどでした(本国インドでは前半と後半の間にインターバルがあります)
主人公の2人、端正で精悍な雰囲気のラーマ役のラーム・チャランと、野生的でユーモアのあるビーム役のN・T・ラーマ・ラオ・Jr.は、最高のコンビ。
ちなみに、ラーム・チャランは、テルグ映画のメガスター「チランジーヴィー」の息子であり、N・T・ラーマ・ラオ・Jr.は、インド映画界で最も有名な俳優のひとり「N・T・ラーマ・ラオ」の孫という、テルグ映画界のサラブレッドであるとのこと。
2人は、現在のテルグ映画界で最高の俳優と呼ばれており本作が初共演。傑作にならない筈がありません!
脇を固めるキャストも最高!ヒロインのシータ役のアーリヤー・バットは本当に美しいし、ラーマの父ヴェンカタ役のアジャイ・デーヴガンの渋さも秀逸。
そして、悪の権化、イギリス総督スコット(レイ・スティーブンソン)とその妻キャサリン(アリソン・ドゥーディ)の悪さ・憎たらしさは、もう完璧です‼︎
インド独立運動の志士たちが登場するエンディング
上の動画は、映画のラストで流れるエンディングソング「Sholay」
出演したキャストたちが軽快なダンスを繰り広げるバックには、イギリス植民地時代にインド各地で反英闘争を闘った英雄たちが登場します。
映画のプログラムで紹介されていたその人物たちは↓
- スバース・チャンドラ・ボース(西ベンガル州)
- ヴァッラブバーイー・パテール(グジャラート州)
- キットゥール王妃チェンナンマ(カルナータカ州)
- V.O.チダンバラム・ビッライ(タミル・ナードゥ州)
- バガト・シン(パンジャーブ州)
- タングトゥーリ・プラカーシャム(アーンドラ・プラデーシュ州)
- ケーララ・ヴァルマ・パラッシ・ラージャー(ケーララ州)
- シヴァージー(マハーラーシュトラ州)
ちなみに、映画のストーリーはフィクションですが、主人公の2人もインド独立運動で活躍した実在の人物をモデルとしています。
- ラーマのモデル:A.ラーマ・ラージュ(1897-1924)
- ビームのモデル:コムラム・ビーム(1900-1940)
イギリスのインド植民地支配は、1858年から1947年までおよそ100年間続きました(実質的には、1757年からイギリスに覇権を握られていたので200年間)。
映画では、イギリスによる過酷で非道なインド支配の姿が描かれていて(かなり誇張されてはいそうですが)、そのシーンは結構インパクトがあります。
インドには、そんな過酷な時代があったということ。そして、それを乗り越えて独立し、現在のインドがあるということ。
この映画は、インド、そして、全世界に、そんな記憶を思い出させ、語り継ぐという役割を担った作品なのかもしれません。
兎にも角にも、この映画「RRR(アールアールアール)」
インド映画史に残る傑作中の傑作のひとつ。インド映画ファンならずとも大満足間違いなし!
全国44都道府県で上映しているので、ぜひ、鑑賞することをお勧めします★
キャスト
ビーム: N・T・ラーマ・ラオ・Jr.
ラーマ: ラーム・チャラン
ヴェンカタ: アジャイ・デーブガン
シータ: アーリアー・バット
スコット: レイ・スティーブンソン
キャサリン: アリソン・ドゥーディ
スタッフ
監督・脚本: S・S・ラージャマウリ
原案: V・ビジャエーンドラ・プラサード
音楽: M・M・キーラバーニ
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