福岡市緑区、西鉄の大橋駅西口から徒歩5分の場所にあるカレー店『ミドリストア』
このお店は、中央インド、マハーラシュトラ州ナーグプルで食べられているカレー「サオジ(Saoji)」を提供している日本唯一の専門店。
店主さんはナーグプルの人気サオジレストランで修行をし、現地公認のサオジアンバサダーとなった方なのだとか。
「サオジ」とは、どんなカレーなのか?
未知のカレー「サオジ」の味を確かめに、福岡まで行ってみることにしました。
『ミドリストア』の外観と店内の雰囲気
こちらが、『ミドリストア』の外観です。
看板には、ヒンディー語で「フェニックス・サオジ・レストラン」。日本語で「まだ知らない、インドを食らう。」と書かれています。
11時30分のオープン時間となりました。扉を開けてさっそく店内へ。
こちらが、『ミドリストア』の店内です。
小ぢんまりとした店内は、壁の色彩やテーブルの感じ、店内に流れるBGMなど、現地インドの食堂の風情。
座席はカウンター席が5,6席、テーブル席が6席ほど。
今回は事前に電話予約の上、訪問しました。食べている間に満席になったので、待たずに入店したい場合は予約して行った方が良いと思います。
カウンター席の向こうにキッチンが見えます。
スタッフは、料理の調理とお客への説明を担当している方と、料理のサーブや片付けを担当している方の2名。
このうち、サーブや片付けをしている方が、たぶん、兄弟の弟さん。
InstagramやWebsiteで拝見したお兄さん(当店のサオジの生みの親)の姿は見えず、調理をしていたのは別の方である様子。
カウンター上には、ヒンディー語のメニューもあります。
インドの食堂の雰囲気満点で、店主さんのインド愛が感じられます。
案内された座席に座ったところで、さっそくメニューを見てお料理の物色開始。
『ミドリストア』のメニュー
メニュー本を開くと、まずは『ミドリストア』のお店の紹介が書かれていました。
お店の Instagram や note などの記述によると、『ミドリストア』は、元々は弟さんが開いたイタリアンのお店でしたが、弟さんが病気により片麻痺となってしまったため、福祉業界で働いていたお兄さんが仕事を辞めてお店の経営に参画。料理人経験の無いお兄さんでも作れる料理ということで、スパイスカレーを提供するお店となったのだそう。
お店の看板メニューである「サオジカレー」は、店主であるお兄さんがネットでその存在を知り、現地語の情報を集めて独自に試作し、SNSでのインド人のアドバイスを参考にしつつ、改良を重ねて作り上げたもの。
お兄さんはSNSで知り合ったインド人の計らいで現地ナーグプルに渡航し、現地のレストランで本場の「サオジ」を習得。作り上げた「サオジ」の味を認められ、日本初の現地公認「サオジアンバサダー」となったのだそう。
こちらは、「サオジ(Saoji)」の紹介。
「サオジ」は、マディヤ・プラデーシュ州からマハーラシュトラ州ナーグプルに移住した織工職人によってナーグプルに根付いた料理。
オイリーで非常に辛いのが特徴で、インドで最も辛い料理のひとつとも言われているのだとか。
現地ナーグプルでは500以上のサオジレストランがあるそうですが、海外にあるのは3店舗のみ。そのうちのひとつが『ミドリストア』なのだそう。
ちなみに、「ナーグプル(Nagpur)」は、240万の人口を擁する中央インドの大都市。地下鉄も走っています。
初代インド法務大臣「ビームラーオ・アンベードカル」が不可触民たちをヒンドゥー教から仏教に集団改宗を行った場所としても知られ、アンベードカルの意志を引き継いで現在も活動を続ける日本人仏僧「佐々井秀嶺」師の活動拠点でもあります。
こちらが、『ミドリストア』のメニュー内容。
「サオジ」は、ノンベジとベジがあり、ノンベジは「サオジチキン」「サオジスンダリ(羊と豚ホルモン)」「サオジクール(羊足首肉)」「サオジマトン(国産フレッシュ山羊肉)」の4種類。この日は「サオジキーマカレジ」もあるとのことなので合計5種類。
ベジは「サオジダルカンダ」「サオジパトディラッサ」の2種類があります。
また、イタリアンシェフの弟さんが倒れる前に人気だった、北インド料理&イタリアンの創作カレー「フェニックスチキンカリー」もあり、サオジカレーとフェニックスチキンを相掛けにした「あいがけ兄弟カレー」も人気の一品。
それでもって、今回注文したのは↓のお料理(2人分)。
- ナーグプルスペシャルセット(サオジチキン、ジーラライス&ロティ+タリーポハ)(2,200円)
- サオジキーマカレジ(ジーラライス&ロティ)(1,600円)
自分は、サオジに「タリーポハ」が付いた「ナーグプルスペシャルセット」をチョイス。サオジは選べたので「サオジチキン」にしました。
相方は、「サオジキーマカレジ」を選びました。
こちらは、お店の壁に貼られていたラッシーやチャイ、デザートのメニュー。
「ローズラッシー」「クルハッドチャイ」「ロイヤルファルーダ」の3品。デザートは「パールシーデザートセット」(メニュー本に記載)もあります。
注文を済ませ、テーブルに置かれていた「現地スタイル Saoji の食べ方」を見つつ、お料理が運ばれてくるのを待ちます。
タリーポハ(Tarri Poha)
まず、運ばれてきたのが「タリーポハ(Tarri Poha)」
Nagpur の超人気ストリートフード!現地では朝ごはんとしても人気があります。Vegetarian,Vegan 対応です。
黄色いポハ(干し米を水で戻したもの)に、ひよこ豆、微塵切りの生玉ねぎ、ベビースターっぽいインドスナックが和えられていて、真ん中にでっかいトマトがあり、パクチーがトッピングされています。
これが、かなり美味しい♪
クリスピー、しっとり柔らか、シャキシャキなど、バラエティに富んだ食感がGood!
トマトのジューシーな酸味や、青唐辛子のピリッとした辛味もいい感じ♪
サオジチキン(Saoji Chicken)
続いてメイン登場!
こちらは、「サオジチキン(Saoji Chicken) Jeera Rice & Roti Set」
銀色のプレートの上に、ドカッと骨付きチキンが入ったサオジの器、ジーラライスのカトリ、ふっくらとした薄いロティ、生玉ねぎ、カットレモンが載っています。
オイリーなサオジが見るからに美味しそう♪
さっそく、いただきましょう〜。
いただいた「サオジチキン」、これはまさに絶品のお味!
これでもかと言うほどのオイリーなグレイビーは、濃厚且つビターなテイスト。複雑なマサラの風味が食欲をそそります。
骨からほろりとほぐれるチキンは柔らかで、身にしっかりと濃厚なグレイビーが沁み込んでいます。
辛さは結構強めですが、この辛さが濃厚なサオジの味に合う感じ。
ちなみに、現地では辛さはもっと強めで、『ミドリストア』でも現地の辛さにしてもらうことも出来るとのこと。
濃厚な「サオジチキン」
いい仕事をしていたのが、付け合わせの生玉ねぎとカットレモン。
シャキシャキとしてフレッシュな生玉ねぎと一緒に食べたり、スキッとした酸味のレモンを搾り掛けて食べると、お口の中がリフレッシュされていい感じに♪
こちらは、ロティ。
このロティも美味でした♪
薄く柔らかな食感。素朴な味が濃厚なサオジとベストマッチ!
もちろん、サオジは、ロティだけでなく、クミンの効いたジーラライスとの相性もバッチシです。
サオジキーマカレジ(Saoji Keema Kaleji)
こちらは、「サオジキーマカレジ(Saoji Keema Kaleji) Jeera Rice & Roti Set」
「サオジチキン」とはまた違った風味のグレイビーで、挽き肉のジューシーな肉の旨味が沁み込んでいて美味♪ チキンよりも濃厚さやビターさ、辛さが若干控えめで、その代わりに、たまに入ったレバー肉がビビッドに濃厚でインパクトあり!
メニューに載っていなかったので食べているときはわからなかったのですが、後で調べたところ、この挽き肉は山羊肉とのこと。臭みは全く無し。
「サオジキーマカレジ」、本当に美味しい★
「サオジチキン」と甲乙付け難い美味しさです。
もちろん、「サオジキーマカレジ」も、ロティやジーラライスとの相性抜群。
生玉ねぎやレモンでお口にインパクトを与えつつ、あっという間に完食!
ちなみに、この「サオジカレー」、かなりオイリーで濃厚なお味ですが、しつこさが無く、食後感が意外とさっぱりしているのが、ちょっと驚きでした。
パールシーデザートセット(Parsi Dessert Set)
食後のデザートは、「パールシーデザートセット(Parsi Dessert Set)」をいただきました。
インドには様々な宗教があり、その中でも最も希少なゾロアスター教徒のことをパールシーと呼びます。店主が現地でお世話になっているファミリーがパールシーで、彼らから本物の伝統的な味を習いました。硬めのカスタードプリンと、パールシー式のハーブが効いたチャイのベストコンビネーションをお楽しみください。
素焼きの器に入った「硬めのカスタードプリン」は、素朴な味と食感。
アーモンドやピスタチオの食感がアクセント。
「パールシー式のハーブが効いたチャイ」は、レモングラス?の風味がチャイのお味に意外と合います。ほどよい甘さとハーブの香りでお口の中爽やか♪
クルハッドチャイ(Kulhad Chai)
食後のお飲み物、もう一杯は、「クルハッドチャイ(Kulhad Chai)」を注文。
熱々に熱した素焼きの陶器の容器(クルハッド)にチャイを注ぎ入れ、ぐつぐつ沸騰させて作るのが「クルハッドチャイ」
その一連のパフォーマンスをスタッフがテーブル上で見せてくれます。
動画もあるので、ご覧ください↓
こうして出来上がった「クルハッドチャイ」
そのお味は、スモーキー?という表現が適切かどうかはわかりませんが、独特の奥深い香ばしさが感じられる不思議なお味。
もちろん、美味です♪
「オレンジバルフィ」
メニューには無いけど、デザートで「オレンジバルフィ」もあると言うので追加注文。
この「オレンジバルフィ」が、また美味でした♪
まさに、オレンジらしい爽やかな柑橘感が粘度のあるバルフィの食感と好相性。
ピスタチオの食感と風味も良いアクセント。
ちなみに、ナーグプルはオレンジの名産地としても有名で、「オレンジバルフィ」はナーグプルの名物スイーツなのだとか。
福岡市緑区大橋にあるカレー店『ミドリストア』
マハーラシュトラ州ナーグプルで食べられているカレー「サオジ(Saoji)」を提供している日本唯一の専門店です。
いただいた「サオジカレー」のお味は、まさに絶品!今まで食べたことのないお味。
複雑な風味が香る濃厚でオイリーなグレイビーはインパクト抜群! それでいて食後感が重くないのが不思議な感じ。
素焼きの陶器にチャイを注ぎ入れ、ぐつぐつ沸騰させて作る「クルハッドチャイ」も楽しく、美味しかったです♪
福岡にはなかなか行けませんが、再訪したら、限定メニューの海老や蟹のサオジを食べてみたいです。
『ミドリストア』の地図・アクセス・営業時間
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