「グッド・ライ~いちばん優しい嘘~」ロストボーイズたちの感動の実話【映画】

「グッド・ライ~いちばん優しい嘘~」ロストボーイズたちの感動の実話【映画】

グッドライ エスニック映画館
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1983年アフリカ大陸のスーダンで内戦が始まり、数万人の子供たちが両親の命と住む家を奪われた。
2000年になりアメリカとスーダンが協力し、難民キャンプで育った3600人の若者たちを
全米各地に移住させる計画を実施。

突然、自由の国への切符を手渡された若者たちと、彼らを受け入れたアメリカ人たちとの間に、いったいどんなドラマが起きたのか──?

「映画」グッド・ライ~いちばん優しい嘘~ 公式ホームページ

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絶望に覆われた戦乱の南スーダンから逃れたロストボーイズたち

アメリカへと向かう飛行機に乗り込む、マメールとジェレマイア、ポールの3人のロストボーイズたち。難民キャンプの仲間たちが彼らを見送っています。

そんな冒頭のシーンから始まる映画「グッド・ライ~いちばん優しい嘘~」

この映画は、南スーダン難民の3人の兄弟が、移民先であるアメリカで生きて行く様を描いた作品です。

 

冒頭のシーンの後、場面は彼らが生まれた村の風景に切り替わります。

彼らが暮らしていたのは、スーダン南部の村。彼らはそこで、両親と共に牛の世話をしたり、子供たち同士で遊んだり、兄弟喧嘩をしたりといった、日常を送っていました。

しかし、ある時彼らを悲劇が襲います。

ヘリに乗った武装集団により、村は焼かれ、両親は殺されてしまうのです。

 

マメールら、兄弟たちは村を逃れ、安全だと言われる隣国へと向かって歩き始めました。

過酷で長い道のり、その途上で、兄弟は病に罹ったり、武装集団に襲われたりして次々と命を落としていきます。

兄弟たちのチーフ、マメールの兄「テオ」もそんなひとり。彼はマメールと兄弟たちを庇い、ひとり武装集団に連行されていってしまうのです。

千キロ以上にも及ぶ道を歩き続け、ようやくケニアの難民キャンプに辿り着いた時には、マメール、ジェレマイア、ポール、そして、兄弟の姉のアビタルの4人しか残っていませんでした。

 

1983年から始まった第二次スーダン内戦。この内戦により約250万人の南部住民が虐殺され、数百万人が居住地を追われたと言われています。

突然の襲撃によって村を追われ、ケニアやエチオピアの難民キャンプまでサバイバルの旅をしたことは、本や映画でも紹介され、アメリカではよく知られているそうです。

マメールら4人も、そんな「ロストボーイズ」と呼ばれる孤児のひとり。

 

映画の序盤では、このサバイバルの旅がかなり詳細に描かれていました。

この序盤で、観客は物語に引き込まれ、マメールたちに感情移入し、作品の中で共に人生を歩むこととなるのです!

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キャリーとの出会い、そして、アメリカ生活での葛藤

アメリカのカンザスシティーに到着したマメールたち3人(姉のアビタルは、女性ということで手続き上一緒に暮らすことができず、ボストンに住むことになります)。

彼らを待っていたのは、職業紹介所に勤める女性「キャリー」でした。

電話の存在すら知らなかった彼ら3人をどうにかして職に就かせようとキャリーは奮闘します。

 

一方、マメールたちは、アメリカという異文化での生活に驚き、戸惑いっぱなし。

キャリーが独身で仕事をして生計を立てていることに感心したり(スーダンでは女性は若くして結婚する)、働き出したスーパーで賞味期限切れの商品を捨てていることに驚いたり。

ピザを「奇跡の食べ物」と言って神に感謝したり、職場の人から聞いたアメリカンジョークに大笑いしたり・・・。

彼らが異文化と出会うことで巻き起こる、様々な行き違いやギャップが、ささやかな可笑しみを持って描かれています。

そんなところも、この映画の見どころのひとつ。

 

だけど、楽しいことばかりではありません。

故郷スーダンとは全く違った異文化の環境、彼らにとっては受け入れがたいこともたくさんあります。

それに、故郷の悲劇から逃れてきた彼らには、トラウマがあり、故郷に残してきた人々に対する負い目もあります。

そんな葛藤と戦いながら、少しづつアメリカに順応していく彼ら。そして、それを手助けしていくキャリー。

あの、スーダンの過酷な日々を乗り越えた彼らが、別の困難と戦う姿を見守り続ける観客たち。

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「グッド・ライ」彼らがついた優しい嘘

映画のタイトルである「グッド・ライ」(良い嘘)。

その意味は、ラストシーンの鮮やかな描写によってわかります。

 

マメールたちは、南スーダン出身の敬虔なキリスト教徒です。

信仰に反した行動はできないし、自分を誤魔化したり嘘をつくことには抵抗があります。

だけど、都会で生活するには、ある程度の嘘も必要なこと。

 

ラストシーンでマメールは、嘘をつきます(詳細はネタバレになるので説明しません)。

その嘘は、自分の信念と人生をかけた嘘。

南スーダンでの少年時代から、アメリカでの異文化との奮闘まで、作品を通して彼と人生を歩み続けてきた私たち。

知らず知らずのうちに、涙がこぼれてきました。

生まれた土地も、生きてきた境遇も、彼らとは全く違う私たちが、真に感情移入した瞬間です。

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アカデミー賞受賞のスタッフ&キャストが作り出した珠玉の作品

この作品の主演である「キャリー」を演じるのは、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』でアカデミー主演女優賞を獲得したリース・ウィザースプーン

製作は、『ビューティフル・マインド』でアカデミー賞監督賞を受賞したロン・ハワードです。

 

けれども、この作品の主役は、ロストボーイズであるスーダン人たち。

監督のフィリップ・ファラルドーは、世界中のスーダン人コミュニティーをあたり、1500人以上のスーダン人とオーディションを行ったそうです。

ジェレマイア役のゲール・ドゥエイニー、ポール役のエマニュエル・ジャル、アビタル役のクース・ウィールも共にロストボーイズであり、マメール役のアーノルド・オーチェンもスーダン人の父を持ち、戦禍から逃れてきたという経験を持っています。

その他、多くの役者がスーダン人によって演じられることとなりました。

 

異文化の出会いを通じて、生きることの意味、人と人との繋がり。

映画を観た後、様々なことに思いを巡らせ、深い感傷に浸ってしまいました。

多くの人に見て欲しい、素晴らしい作品だと思います。

キャスト

キャリー:リース・ウィザースプーン
マメール:アーノルド・オーチェン
ジェレマイア:ゲール・ドゥエイニー
ポール:エマニュエル・ジャル
ジャック:コリー・ストール
アビタル:クース・ウィール
パメラ:サラ・ベイカー

スタッフ

監督:フィリップ・ファラルドー
脚本:マーガレット・ネイグル
製作:ロン・ハワード

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