中国福建省の北西部にある永定県。山深い田舎な地域です。
そんな田舎道をバスで走っていくと、山あいに大きな円形の建物がいくつも見えてきます。
これは「客家土楼」という集合住宅。2008年7月には世界遺産にも登録されました。
今回は、高頭郷高北村の「承啓楼」をご紹介!
4階建て4重円の永定最大級の円楼は、お昼時で賑やか!
「承啓楼」の外観
洪坑村を発った私は、中国で最高の土楼と言われる「承啓楼」を見るため、近隣にある高頭郷高北村へと向かいました。
高頭郷高北村は洪坑村からバイタクに乗って約10分ほどの場所にあります。バイタクの料金は8元(120円)でした。
「承啓楼」は、江氏により1709年から3年かけて建造された土楼です。4階建て4重円の円楼で、直径は61メートル、高さは12メートルにも達し、部屋数は412。永定では最大級の円楼です。
「承啓楼」は、1元切手の図柄にもなっていて、中国で最も有名な土楼です。
「承啓楼」と、隣にある「世澤楼」の間にある小道
土壁の土楼の壁面と、土楼の間の小道をゆく天秤籠を担いだ男性の姿。絵になりますね!
「承啓楼」の内部。子どもがこっちを見ています!
4階建ての外円部には、各階に72の部屋があります。1階には台所・食堂があり、2階は倉庫、3,4階は寝室となっています。また、回廊の周りの長さは229.34メートルもあるそうです。
井戸は2つ、こんな巨大な建物であるのに、「承啓楼」への入口は3つしかないそうです。
火事になったら大変!
この「承啓楼」には、現在でも江氏一族60数世帯、400数人が住んでいます(2003年当時)。かつては、80世帯600人以上が居住していたそうです。
同じ一族とは言え、あまりに巨大な土楼で居住する人数も多いため、皆が居住している人を把握しているわけではなさそうです。
まるで、ひとつの村ですね!
3重目と2重目の内円部の様子。
内円部は1階建てで、3重目には44、2重目には36の部屋があります。ここは、主に家畜小屋やトイレなどとして使用されているようです。
「承啓楼」は外壁の土壁を除けば、すべて木造のつくりとなっています。
上の階に上がってみました。これは3階から見た眺め。
洗濯物が干され、籠がいくつも置かれています。生活感のある風景です。
ちょうどお昼時ということで、皆さん1階に降りているようです。人の姿が見えません。
外円部の上層階は、通路でぐるりと繋がっていて、歩いて一周できるようになっています。
この通路は「走馬廊」と呼ばれているそうです。
4階からの眺めです。
3重の円とまん中の祖堂の姿が見えます。
こうして上層階から見ると、この「承啓楼」の規模の大きさがよくわかりますね。ここに住む人全てが江氏一族だというのもすごいことです。
お昼の準備です。お吸い物を入れてますね。器が20皿……。大家族です。
「承啓楼」はとても賑やかな土楼でした。お昼時で皆さん中庭に集結していたみたいで、大きなしゃべり声や笑い声が楼内に響き渡っていました。
「承啓楼」の内部にて。
にこやか兄弟登場!食事を終えて遊びに出てきたのでしょうか?
入口の向こうに食事をしている人々の姿が見えます。
2003年当時、訪れた際に観光客はわたし一人だけでしたが、現在はツアー客でごった返しているのだとのこと。
ちなみに、この「承啓楼」、宿泊も可能なようです。
正面から描いた承啓楼
承啓楼の全容
旅行時期:2003年1月