※前回の記事→初渓村の土楼群「集慶楼」と「庚慶楼」【中国福建省】
中国福建省の北西部にある永定県。山深い田舎な地域です。
そんな田舎道をバスで走っていくと、山あいに大きな円形の建物がいくつも見えてきます。
これは「客家土楼」という集合住宅。2008年7月には世界遺産にも登録されました。
今回は、南渓地区、下南渓村の「振福楼」をご紹介!
ガチョウの多い「振福楼」
「振福楼」の外観。右にいるのはバイタクのお兄ちゃん
初渓村の土楼群の次に訪問したのが、南渓地区、下南渓村にある「振福楼(ジェンフーロウ)」という土楼です。
「振福楼」は、1912年に建造されたといわれる、3階建ての中型の円楼。
ガチョウの多い「振福楼」
「振福楼」の前にはガチョウがたくさんいました!
がぁーがぁー鳴いてました。
「振福楼」の内部の様子。
左側の石造りの建物は「祖堂」です。「祖堂」を中心としてその周りを住居部分が取り囲んでいます。1階には台所と食堂があり、2階は倉庫として使われ、3階が居室になっています。
上の階に登り、土楼の中心に建つ祖堂を眺めます。この祖堂には祖先神が祀られています。
この「振福楼」は、蘇という一族の建物だそうです。中心にあるご先祖様が、円楼に住む一族を団結させていたのでしょうね〜。
土楼の外壁は土で造られています。だから「土楼」。
だけど、それ以外はほぼ木造だそうです。
土楼は地震に強いことが知られており、夏は涼しく冬は暖かな、暮らしやすい建物なのだそうです。
土楼の中にもガチョウがたくさんいました!
ふるさとを守る「振福楼」のおばちゃん
「振福楼」は、蘇振泰という人が建てた土楼と言われています。
チャイナネットによると、蘇振泰氏について、次のような説明がなされています。
こ の建物を建てたものである蘇振泰は貧しい農家に生まれ、私塾(昔の私立の学校)で勉強したことがあり、のちに葉タバコを刻むことを学び、後にタバコの販売 を学び、広東、上海などで刻みタバコの商売で財をなし、この地相学上のすばらしい土地を選び、数万元の銀貨で振福楼を建てた。蘇振泰の子孫は多く、海外に 住んでいる後裔は約100人もおり、その多くは専門家・学者であるということである。
「チャイナネット」2008年11月10日
現在では、ほとんどの人が台湾か香港に移住してしまったそうで、この「振福楼」に住むのは、一家族6,7人のみであるようです。
「振福楼」家族の肖像
1階の食堂の壁に飾られていた家族の写真。
古い写真から新しい写真までいろいろ。なんだか歴史を感じます。
ヨーロッパで撮影されたと思われる写真もあって、一族の皆さんの多くが、海の向こうへと渡ってしまった様子がうかがえます。
「振福楼」では、優しいニコニコ顔のおばちゃんが歓迎してくれました。
家族の写真の左側にあるのが、おばちゃんの写真です。
優しいニコニコ顔のおばちゃん
息子たちは、みんな海外に暮らしているのでしょうけど、時々、このおばちゃんの笑顔を見に、この「振福楼」に帰ってくるのでしょうね。
旅行時期:2003年1月