※前回の記事→廈門からバスとバイタクで客家土楼の建つ永定へ【中国福建省】
中国福建省の北西部にある永定県。山深い田舎な地域です。
そんな田舎道をバスで走っていくと、山あいに大きな円形の建物がいくつも見えてきます。
これは「客家土楼」という集合住宅。2008年7月には世界遺産にも登録されました。
今回は、初渓村の土楼群「集慶楼」「庚慶楼」をご紹介!
初渓村にある最大の土楼「集慶楼」
「初渓村」にある「集慶楼」
バイタクでの土楼巡り。
バイタクのお兄ちゃんが、まず最初に連れて行ってくれたのが「初渓村」にある「集慶楼」という土楼です。
土楼には、円い形をした「円楼」と、四角い形をした「方楼」があります(他にも五角や八角の楼もあるみたいですが、それらは特殊な形態です)。この「集慶楼」は円楼。
土楼は、客家の人々が暮らす集合住宅です。血縁関係のある家族や親族がみんなで暮らしているのです。
「集慶楼」の入り口
「集慶楼」の入口から内部を覗き見ます。文字が貼られていますねー。
「天作之合」「喜今朝一対夫婦歌好合」
どんな意味なんでしょう。でも、何となくわかるような気もしますね。
「集慶楼」は、初渓村にある土楼としては最大のものだそうです。
そして、それ以外にも「単元式土楼」であるという特徴があります。
普通の土楼は、2階以上にはぐるりと一周できる渡り廊下が設置されているのが一般的。
だけど、この「集慶楼」にはそれがありません。一家族(一単元)ごとに1階から4階まで達する階段があって、それぞれの家族の居住区域が独立しているのです。
生活感溢れる「庚慶楼」
「庚慶楼」の内部
こちらは、集慶楼の隣にある「庚慶楼」。
「庚慶楼」は、「集慶楼」に比べて小さい土楼ですが、ほとんど人がいなかった集慶楼に比べ、生活感溢れまくりで面白かったです。
写真を見てください!
洗濯物も農作物も、思いっきり干されてます!
そして、手前にはガチョウたちが、のんびりと毛づくろいをしています。
「庚慶楼」の内部
壺が置かれていたり、箒が立てかけてあったり、細かなディテールがいいですね!
3階から眺めた「庚慶楼」
3階に登り、ぐるりとなった庚慶楼の内部を眺めます。
物の置き方、干し方、吊るし方、立て掛け方・・・。
いろいろな工夫が見えますね。
生活感溢れる土楼の内部
客家の人たちはもともと、方形の「囲屋(ウェイウー)」と呼ばれる建物に住んでいたそうです。
四隅に見張り塔を配し、高い塀に囲まれた「囲屋」は、現在でも広東省や江西省で見ることができます。
この「囲屋」と、平屋建ての四合院方式の建物「殿堂式客家民居」をルーツとして、防衛上の観点から殿堂式民居の中心部を高くした「五鳳楼(ウーフォンロウ)」という建物が造られました。
「五鳳楼」は平野部での建造がほとんどでした。けれども、より危険度の高い山間部では、全体を同じ高さの壁で囲んだ口の字型の「方楼(ファンロウ)」が建てられるようになります。
そして、「方楼」はそのうち、より防衛力の高い「円楼(ユェンロウ)」へと進化していったのだそうです。
これらの土楼は一般の家族の家なのですが、たま〜に観光客が来るみたいで、旅行者が中に入っても特別びっくりはされませんでした(2003年当時)。
世界遺産に登録された今は、どうなっているかはわかりません。
ちなみに、この初渓村の近くの丘からは、3つの土楼が綺麗に並んでいる「3連土楼ビュー」が見えるらしいです。
それは後から知りました。
旅行時期:2003年1月