ブエノスアイレス市の南東、海沿いにある「ボカ地区」
ここは「ブエノスアイレス」という町を象徴するような場所です。
なにしろ、ここ「ボカ」からあの「アルゼンチンタンゴ」が生まれたというのですから。
今回は、ボカ地区とカラフルな「カミニート」、アルゼンチンタンゴについてご紹介します♪
カラフルな街「カミニート」のあるボカ地区。この町で「アルゼンチンタンゴ」は生まれました♪
セントロからコレクティーボに乗り込み15分ほど。
「ボカ」のメインの観光スポットともいえる「カミニート」(Caminito)に到着しました。
着いてまず目に飛び込んできたのが、赤青黄緑のカラフルに彩られた家並み。
そして、路上には様々なアーティストが個性を持ったそれぞれの絵を並べていて、その界隈を更に華やかに見せていました。
私はこの町にやってくるまでここ「カミニート」の存在を全く知りませんでした。
ガイドブックのなかった私は、「ブエノスアイレス」に来たとき、この町に関する情報をまるで持っていなかったのです。
ホテルに荷を置き、「ブエノスアイレス」の街角に出て最初にしたことは、地図を買うことでした。
私は、キオスクで絵入りのわかりやすい地図を買いました。
それを見て町のおおまかな位置関係を把握すると、次に土産物屋で絵葉書を見ることにしました。
絵葉書には、たいていその町のメインの観光スポットが写っているものです。
それを見ながら、私はなるほど「ブエノスアイレス」は、こういう町かとだいたいの雰囲気を理解することが出来たのです。
その絵葉書群の中で一番目を最も引いたのが、このカラフルな「カミニート」の写真でした。
一目見て、「行ってみたい!」と思わせる雰囲気が「カミニート」にはありました!
「カミニート」でタンゴを踊る
「カミニート」には画廊と土産物屋が多かったのですが、タンゴを見せてくれるバーも点在しています。
かつて、「ボカ」は、ブエノスアイレス唯一の外港であったそうです。
ヨーロッパからの多くの移民が最初の一歩を踏み出した土地、船乗りや港湾労働者たちが集う安酒場のあった町、それが「ボカ」です。
「アルゼンチンタンゴ」は、そんな酒場の薄明かりの中で生まれました。
私は、通りに並ぶタンゴバーの一軒に入りました。
現在の「カミニート」は、観光客のための街、もしくは彼らに絵を売る芸術家たちの街となっています。
そのためここでのタンゴも観光客向けという雰囲気が強いです。
本物を見るためにはボカの北にある「サン・テルモ地区」の由緒あるバーに行く必要があるのでしょうが、ドレスコードがありそうです。
私は、ここ「カミニート」で観光客向けのタンゴを見ようと思いました。
そして、それで充分でした。
本当にタンゴを見るのであれば夜の9時以降に店に行くべきであり、平日のそれも真っ昼間にタンゴを見ようというのがそもそも間違っているのかもしれないのですが。
「カミニート」のタンゴバー。
ピアノとアコーディオン、哀愁を帯びたリズミカルな旋律♪
テーブルとテーブルの間をタキシードを着た男性とドレスを着た女性が軽快に踊っています。
クルクルと回る彼らの姿を、グラスワイン(安物)を口に含み、周りの観光客たちと共に手を叩きながら眺めます。
「ブエノスアイレス」を、「ボカ」を、「カミニート」を満喫する瞬間です!
そのうちダンサーが客の手を取って、踊るように勧めてきました。
ひとりひとり順番に、女性客は男性のダンサーと、男性客は女性のダンサーと短いステップを踏みます。
私もダンサーに誘われ、覚束ない足取りで、けれども気分だけは優雅に踊りました!
フロリダ通りの路上タンゴ
「フロリダ通り」
セントロの中心にある、歩行者天国のこの通りは「ブエノスアイレス」一の繁華街といわれています。
通りの両側にはお洒落なブティックやレストラン、カフェ、本屋やCD屋、土産物屋などがひしめきあっていて、いつでも人々でごった返していました。
通りの真ん中では、しばしば大道芸人やストリートミュージシャンのパフォーマンスが行われています。
手品師やアンデスのフォルクローレ楽団、人形遣いやアコーディオン奏者。
そんなのが並んでいる中で、一番の人だかりを集めていたのが「路上タンゴ」のショーです!
ダンサーがカセットデッキのボタンを押すと、軽快なタンゴのリズムが流れ始めます♪
おもむろにステップを踏んで踊り始める男と女。
人並みの中にぽっかりと空いた丸い空間を縦横無尽に動き回っていきます。
男、女、子供から老人まで、彼らのステップをみんな、丹念に舐めるように眺めていました。
小気味のいいリズムに合わせた男性ダンサーの巧みなリード、官能的に弓なりに体を反らせる女性ダンサー。
彼らの動きは優雅で洗練されていました。
そして、タンゴという踊りの性格なのでしょう。音楽もそうですが、少し物悲しい感じがしました。
音楽が止まりダンスは終わりました。
拍手が沸き起こります。私ももちろん拍手しました。
ダンサーが帽子を手に人々の間を回って歩きます。
人々はポンポンと気前良くコインを投げ入れていました。
このような路上タンゴのショーは通りのいたるところで行われていました。
しかも、どれもレベルが高いように見受けられました。
地元の目の肥えた人々が大勢集う「フロリダ通り」
プロを目指すダンサーたちにとって、ここは格好の練習の場なのかもしれません。
タンゴの音色が聴こえ始めると一斉に人だかりが出来ます。そして、踊りが終わりコインを投げ入れると、人だかりは一斉に散らばっていきます。
私はその小気味良く、仄かに哀愁を感じさせる路上タンゴのパフォーマンスをいくつも見て回りました。
これこそ「ブエノスアイレス」だと思いながら。
旅行時期:2003年7月
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