「シリア」(Syria:سوريا)は、世界で最も古い歴史を持つ地域のひとつです。
世界史の主舞台として、アッシリアやペルシャ、ローマ、イスラム帝国、モンゴル帝国、オスマン帝国など様々な国の支配を受け、近代になってからはフランスの植民地となりました。
そして、現在では内戦状態となり、テロとの戦いの舞台となっているシリア。ここは世界史の縮図です。
2003年、内戦が起こる前に訪れたシリアをご紹介します。
今回は、「ダマスカス」についてご紹介します。
6,000年の歴史を持つこの街は現存する最古の街のひとつともいわれています。
ダマスカスの街
「ヒジャーズ駅」
パルミラからバスで約3時間、シリアの首都「ダマスカス」に到着しました。
宿泊した宿は、ダマスカスの街の中心部、マルジェ広場の近くにある「ベイルートホテル」。トイレシャワー共同のシングル、250SP(600円)です。
界隈には、おいしいフレッシュジュースやシュワルマ(トルコでいうドネルケバブ)のスタンド、インターネットカフェやマクハ(アラブ風喫茶店)、近くには大きな生鮮食料品の市場もあります。便利な場所です。
写真は、「ヒジャーズ駅」。駅舎に掲げられている写真は、右がバッシャール・アル・アサド現大統領、左が故ハーフェズ・アル・アサド前大統領です。
「ヒジャーズ駅」の内部
「ヒジャーズ駅」の内部です。
現在は旅客用としては使われてはおらず、窓口で切符を販売しているだけ。古本販売コーナーもありました。
内部の装飾は一見の価値があります。
ダマスカス新市街
ダマスカスの新市街です。
「シリア」の正式名称はシリア・アラブ共和国。共和制ですが、実質バース党の一党独裁で大統領は事実上の世襲となっています。
アラブ人が90%、イスラム教スンニー派も7割を占めますが、クルド人やキリスト教徒も少なからずいます。
イスラムの教えを忠実に守っている人が多い国です。言葉はアラビア語が公用語で、街中の文字がほぼアラビア文字なため、旅行者はひと苦労。
ダマスカス最大のスーク「スーク・ハミディーエ」
スークの貴金属のお店
スークの土産物屋
スーク内の路地
干物や薬を売るお店
ピスタチオ入りアイス「ブーザ・アラビー」のお店
路地にいた少年
ダマスカスの見所は何といっても旧市街「オールド・ダマスカス」です。
宿に荷物を置くと、さっそく歴史的なその街へと向かいました。
マルジェ広場から旧市街へはすぐ、100mもありません。旧市街の入り口にある、十字軍に備えて造られたという「シタデル(城砦)」を横目に、屋根付きの大きなスークへと入っていきました。
ダマスカス最大のスーク「スーク・ハミディーエ」です。
スークの中は人々の喧騒で満ち溢れていました。様々な人がいます。白いローブを着た顎髭の老人、赤白チェックのカフィーヤを被った口髭のおじさん、黒いヴェールで全身を包み目だけ見える女性。
同じイスラムの人といえどもその姿格好は様々です。
このスークの奥にはイスラム教第4の聖地「ウマイヤドモスク」があります 恐らく様々な国から信者が巡礼に来ているのでしょう。
ウマイヤドモスク
「ウマイヤドモスク」
ダマスカスにあるイスラム第4の聖地「ウマイヤドモスク」です。
「ウマイヤドモスク」は、世界最古のモスクといわれています。建物の創建は715年。イスラム第4の聖地として知られ、毎日国内外から多くの巡礼者が訪れています。
入り口で靴を脱ぎ、中に入っていきました。真ん中に大きな中庭があります。総大理石造りの白くピカピカに磨き上げられた中庭です。
それをリズミカルな無数のアーチを持つ建物がロの字形に囲んでいます。アーチの連なりがピカピカの中庭に鏡のように映っていました。
メインの礼拝所
メッカの方角である南には、広い長方形の形をしたメインの礼拝所がありました。
礼拝所の中はかなり広いです。アーチとそれを支える列柱と、床に敷き詰められた真っ赤な絨毯が延々と向こうまで続いています。
壁には一列に嵌め込まれた色とりどりのステンドグラス。立派なシャンデリアとプロペラ型の扇風機が等間隔に天井からぶら下がっていました。
温もりの感じられる紅い絨毯に腰を降ろし、ぼんやりとモスクの内部を眺めます。
周りを見ると、多くの信者がメッカの方角に向けて祈りを捧げていました。
「ウマイヤドモスク」の礼拝所
私の斜め前には若い男性が立っています。彼は背筋をシャンと伸ばすとおもむろに礼拝を始めました。
目を瞑り両手のひらを顔の前に広げ、祈りの言葉をつぶやきます。
そのうち手を膝に載せ、中腰になって祈り始めました。
そして、最後に跪き地面に頭を着け、メッカの方角に向けて礼拝するのです。
彼はそれを何回も繰り返していました。
床に敷き詰められた真っ赤な絨毯
礼拝をする信者たちは、次々とやって来ます。
コーランであろう分厚い本を手にした長い顎髭の老人がいます。ヴェールを被った女性が小さな子供と共に祈っています。
神に祈る真摯な姿を見ていると、ただの傍観者である私も居ずまいを正した方がいいのでは、という気分になってきます。
けれども、人々は意外とリラックスした感じでした。
礼拝が終わると人々は紅い絨毯の上に思い思いの格好をして座り、仲間と言葉を交わしたり、ぼんやりと物思いに耽っていたりしています。
さすがに寝転がったり大声をあげて喋ったりする者はいませんが、みんな礼拝を終えた気楽さからか、まったりとくつろいでいるようでした。
ダマスカスの夜
夜の「ウマイヤドモスク」
世界遺産ダマスカスに夜の帳が下ろされました。
夜、「ウマイヤドモスク」は、オレンジ色の光にライトアップされました。
尖塔から「アザーン」の呼び声が聴こえてきます。
「ウマイヤドモスク」の尖塔からアザーンの呼び掛けが聴こえてきます。
もうすぐ就寝前の礼拝(イシャーウ)の時間です。
夜の「スーク・ハミディーエ」
こちらは、夜の「スーク・ハミディーエ」
すごくいい雰囲気を醸し出しています♪
皆さん、夜遅くまでウインドウショッピングを楽しんでいました。
夜のスークの様子
スークの奥まで入り込んでみました。天井の灯りが面白い形をしています。
お母さんが子供を連れ、夜のスークを家路へと向かいます。
お店は、まだ営業しています。
旅行時期:2003年5月〜6月
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