中国西南部にある雲南省。
ベトナム、ラオス、ミャンマーと国境を接するこの地域は、緑いっぱいの豊かな土地。
雲南省には多くの少数民族が暮らしていて、雲南省だけにしかいない少数民族は15もあるそうです。
雲南省の「麗江」「大理」「元陽」の町と少数民族をご紹介します。
今回は、納西族の里「麗江」です。
納西(ナシ)族の里、麗江の何だか懐かしい街並み 【世界遺産】
雲南省の省都昆明からバスで5時間ほどのところに位置する「麗江」(丽江:Lijiang)。麗江ナシ族自治県の首府でもある町です。
標高は約2,400m。周囲を山に囲まれており、豊かな自然が溢れる風光明媚な所としても知られています。
麗江の町は、納西(ナシ)族という少数民族によって宋の末期から元の初期に造られました。800年以上もの歴史を持つ麗江の町は、1997年に中国初の世界文化遺産に登録されています。
麗江はチベットや四川、雲南などの文化圏の接点に位置しており、古来から様々な民族が流入した場所。納西族は、それらの多様な文化を吸収し、自らの文化と融合させながら、独自の納西族文化を作り出していきました。
上の写真は、麗江の新市街。向こうに万年雪を被った玉龍雪山が見えます。標高5,596mのこの山は麗江のシンボルともいえる山です。
こちらは旧市街「麗江古城」と呼ばれている街です。
世界遺産に登録されているのは、もちろんこちらの街並み。
瓦屋根の家々が密集しているのが見えます。家の高さが皆同じ。新市街とはまるで違う街並みです。
もう少し近づいて見てみることにしましょう〜。
グレーの瓦屋根の色合いが渋い「麗江古城」。周囲の自然と街並みが調和しています。
ところで、この町には中国の他の町には必ずある「城壁」がありません。
それにはこんな理由があります。
かつて、この地を治めていた領主は「木氏」といいました。文明の交差点に位置する麗江には、異民族進入の脅威があるため、城壁の必要性はあります。
しかし、と木氏は思いました。「木」を城壁で囲ったら「困」になってしまう。
「困」になることを怖れた木氏は、ついに城壁を造ることはありませんでした。
結局、その後も麗江の街には城壁が造られることはなく、今日に至るまで城壁のない無防備な姿となっていますす。
さらに近づいて見てみることにしましょう〜。
隙間無く密集した灰色の瓦屋根の家々が見えます。その不揃いな並びは素朴で美しいです。
この屋根の下にある路地を歩いてみたい誘惑に駆られます。
不思議な懐かしさが感じられる光景です。
かつては日本にもこのような素朴な町が数多くあったのでしょうか。
それでは、実際に路地をぶらぶらと歩いてみることにしましょう〜。
麗江古城の路地をぶらぶら歩き
麗江古城の路地です。
2,400mもの標高を持つ麗江の町は朝晩かなり冷え込みます。早起きした私はジャンパーを羽織り、寒さに身を縮こまらせながら古城の中を歩き始めました。
この石畳が敷き詰められた広場は「四方街」といいます。早朝、既に街の人々は活動を開始していました。
朝の路地です。まだお店は開いていません。
朝の陽の光に照り返される石畳や木戸、瓦屋根。渋い光景です。
ここは宿泊した宿「金虹客桟」、素朴な宿です。
シャワーのお湯がよく出ないのと、トイレが流れないのが困りものの宿でした(でも中国の安宿ってそんなもの)。
麗江の石畳の路地
観光客もたくさん訪れます。
建物はほとんどが2階建て
子供たちが遊んでいる姿によく出くわします。
麗江は、中国でも人気のある観光地。
旅行者が多いため、麗江古城には土産物屋がたくさんあります。
お洒落なアートを売る店も多く、地元のアーティストのお店もあります。
麗江古城のメインストリートです。銀行やファーストフード店、観光センターや演劇場なんかもこの通りにあります。
向こうに玉龍雪山が見えます。
これは新市街の一角に立っていた毛沢東の像。
像の前にある広場では、納西族の老婆たちが輪になって踊りを踊っていました。
高台にある「萬古楼」
この楼の上からは、麗江古城と新市街のパノラマを見渡すことができます。
記事の一番最初の写真は、この楼の上から撮ったものです。
2,400メートルの高地にあるので、上まで登るのは結構しんどいです。
提灯の灯りが華やかな夜の「麗江」
夜の「麗江」は昼間よりも華やかかもしれません。
家々の軒先に掲げられた提灯が赤や黄色の光を放ち、古城は縁日の屋台のような幻想的な華やぎに包まれます。
写真のような食堂でよく食事を食べました。「雲南ハム」のたくさん載ったご飯がおいしかったです。
真っ赤な提灯と柳の木。時代劇に出てきそうな界隈です。
民族衣装を着た納西族の若い女の子たち。
彼女たちは、観光客向けのレストランの客引きのようです。
年配の女性たちは、今でも民族衣装を着ていますが、若い女の子たちは西洋風のシャツやブラウス、ジーパンなどを着ることが多いようです。
彼女たちもお仕事が終わったら、普通の洋服を着るのだと思います。
次回は民族衣装を着たおばちゃんたちをご紹介します。
旅行時期:2003年1月
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