エジプト(Egypt:مصر)
肥沃なナイル川の恵みに育まれ、紀元前3000年の古代エジプト文明の成立から5000年以上もの歴史を持つエジプト。
ピラミッドやスフィンクス、ルクソールの王家の谷などの古代エジプトの遺跡、中世から近世までのイスラムの中心地としてのカイロの街並み、広大な砂漠とオアシス、紅海の美しい海。見どころたくさんのエジプトです!
今回は、ギザのピラミッドをご紹介します。
ギザの三大ピラミッド(Giza:الجيزة Pyramids:أهرامات الجيزة)
クフ王のピラミッド
ギザの三大ピラミッド(Giza:الجيزة Pyramids:أهرامات الجيزة)
世の中にこれほど見事なランドマークが他にあるでしょうか。砂漠の中に立つ3基のピラミッドは圧倒的な存在感!
人類史上最も有名な建造物といっていいかもしれません。
ピラミッドの起源は、紀元前2650年頃のジョセル王の階段ピラミッドだと言われています。
ギザにある三大ピラミッドは、その百年後の紀元前2550年頃の造営です。
写真は、クフ王のピラミッド。エジプト最大のピラミッドで、底辺の長さは230.4m、高さは138.8mにも達し、14世紀までは世界で最も高い建造物だったそうです。
勾配は51度50分、底辺の長さと高さの比は「黄金比」であるとのこと。
カフラー王のピラミッド
カフラー王のピラミッドです。底辺の長さ215m、高さは143.5m。
上部には化粧版が施されています。かつては全てのピラミッドが化粧版で覆われていたそうですが、カイロ市街の造営に使用するために剥がされてしまったのだそうです。
メンカウラー王のピラミッド
メンカウラー王のピラミッドです。このピラミッドは少し小さくて、底辺の長さ108m、高さは66.5mしかありません。
ピラミッドは、エジプト国内で118基発見されています。最も最近に発見されたのは、2008年にサッカラで発見されたシェシェティ女王のピラミッドです。
ピラミッドの石組み
ピラミッドの内部の回廊
クフ王のピラミッドは、間近で見るとこのようになっています。
石材の重さは平均2.5t。それを270万個から280万個積み上げたというのですから驚きです。
かつては、奴隷の強制労働によってピラミッドは造り上げられたとされてきましたが、最近の研究によると、どうやら奴隷ではなく一般の農民や手工業者が建設に携わっていたということが明らかになってきました。
労働者が家族と暮らしていた証拠や、怪我を治療した痕、病気により仕事を休んだという出勤記録なども出土しているようです。
労働者たちはピラミッドの造営を「仕事」として行っていたようです。
右の写真は、ピラミッドの内部。
ピラミッドの内部からは、王のミイラが発見されたことは一度もありません。また、王家の谷などの墳墓で見られる豪華な壁画や装飾も一切ありません。
そのため、今まで長い間考えられてきたピラミッドが墓であるという説は、疑問視されているようです。
ピラミッドの歴史
クフ王のピラミッド
ピラミッドの造営は、このギザの三大ピラミッドが最盛期。
以後は規模が縮小され、そのうちほとんど造られなくなっていきました。けれども、それはエジプトが衰退したからではなく、エジプト人にとってピラミッドがそれほど必要とされなくなったからだと考えられています。
エジプトの領土が最大版図となったのは、「新王国時代」のこと(ギザの三大ピラミッドは「古王国時代」)。
ツタンカーメン王やラムセス2世などにより、「新王国時代」のエジプトは空前の繁栄を謳歌しました。
この頃はピラミッドではなく、葬祭殿がたくさん造営されたのだそうです。
ピラミッドとラクダ
ピラミッドは、「歴史」中の「歴史」です。
ナポレオンがピラミッドに心酔したのは有名な話ですし、ローマのカエサルやイエス・キリストもピラミッドを見ていたと考えられます。
古代ギリシャのヘロドトスは、その著書「歴史」の中でピラミッドについて解説もしています。ヘロドトスは、「歴史」の中でピラミッドは、奴隷を強制労働させて造った王の墳墓だと語り、それがその後の通説となりました。
私たちにとってはるか昔の時代の人である彼らでさえ、この巨大なピラミッドを見上げて「歴史」を感じていたのです。
ピラミッドは、まさに「歴史」中の「歴史」です。
ピラミッドへのアクセスと入場
馬に乗った少年
ピラミッドとエジプト人
ギザの三大ピラミッドまでは、カイロの街からバスで約30分ほど。
ギザのピラミッド地域内は、入域料60エジプトポンド(約960円)、8:00~18:00(冬期~16:00)の時間に入ることができます。
クフ王とカフラー王のピラミッドは、内部に入ることもできます。
クフ王のピラミッドが、入場料100エジプトポンド(約1600円)。カフラー王のピラミッドが、入場料30エジプトポンド(約480円)
また、ギザのピラミッド地域には、有名なスフィンクスや、クフ王の船と考えられる長さ43mの木造船「太陽の船」がある太陽の船博物館(50エジプトポンド:約800円)なども必見の見どころ。
ピラミッド地域内には、ラクダや馬に乗った人たちがたくさんいて、観光客を見つけると、「乗せてあげる」と声を掛けてきます。
ラクダや馬に乗ると、「写真を撮ってあげる」と言って、ピラミッドをバックにした写真を撮ってくれます。
なかなかいい記念になるけれど、ラクダや馬を降りると、結構高いお金を請求してくるから注意が必要!
ラクダに乗って写真を撮りたいなら、事前に値段交渉しておいた方が無難です。
夕暮れのピラミッド
夕暮れのピラミッドとラクダ
ピラミッドと砂漠に沈む夕陽
夕暮れ時のピラミッドの風景です。
ピラミッドの手前側は、間近までギザの街並みが迫ってきていますが、向こう側は何にもない広大な砂漠です。
その砂漠の地平線に太陽が沈んでいくのを見るのもなかなかGood!
太陽が地平線に沈むと、ピラミッドは三角のシルエットとなります♪
夕暮れ時、シルエットとなったクフ王とカフラー王のピラミッド
旅行時期:1996年8月・1998年2月
コメント