今回ご紹介するのは、横浜にある“ベトナムタウン“「いちょう団地」です★
日本に在留するベトナム人は、2019年末時点の統計で41万1968人。国籍・地域別では中国人、韓国人に次ぐ第3位の人口で、在留外国人全体の約14%を占めているそうです(前年比+24.5%の増加は国別では最大の伸び率であるとのこと)。
そんな、在留外国人の一大勢力であるベトナム人、彼らはいったいどこに住んでいるんでしょうか。
中国人と言えば、池袋や川口。韓国人と言えば、新大久保や東上野などに在日タウンがあることが知られていますが、在日ベトナム人が集まる“ベトナムタウン“はどこにあるの?ってことで、ちょこっと調べたところ、ありました〜!
それが、神奈川県横浜市泉区と大和市に跨がる公営団地「いちょう団地」です。
「いちょう団地」には、多くのベトナム人が住んでおり、現地の味そのままのベトナム料理店があったり、現地食材を買えるお店がいくつもあるのだとか。
今回、その「いちょう団地」に訪問したのでレポしてみたいと思います★
「いちょう団地」とは?
いちょう団地
「いちょう団地」の概要
「いちょう団地」の地図
「いちょう団地」は、神奈川県横浜市泉区と大和市に跨がる県内最大の公営団地。
3600戸からなる大型団地で、横浜市側に48棟、大和市側に31棟が建てられています。
団地の入居は、1971年(昭和46年)に開始されましたが、外国人が入居するようになったのは、1990年代前半の頃から。
現在では、東南アジア、中国、南米など11か国2500人以上(団地全体の約24%)の人々が住んでいるのだとのこと。
なぜ、「いちょう団地」に外国人の入居が多いのか?
「いちょう団地」になぜ、外国人の入居が多いのかというと、大和市にインドシナ難民の定住促進センターがあったからなのだそう。
1975年、ベトナム・カンボジア・ラオスのインドシナ三国は社会主義体制に移行。その際、体制からの迫害を逃れるため、また、経済活動ができなくなるという理由から、多くの人々が国外に脱出しました。これが「インドシナ難民」です。
「大和定住促進センター」は、そんなインドシナ難民を受け入れるため、1979年(昭和54年)に、大和市の南林間に開設され、1998年に閉所するまで2000人以上の人々が日本語教育を受け、1000人を超える人々が斡旋により就職したのだそう。
「いちょう団地」は、大和定住促進センターに近く、居住条件が緩く、入居費用も安く、入居募集も多かったのだとのこと。
そのため、多くのインドシナ難民が「いちょう団地」に集まるようになったというわけです。
「いちょう団地」への行き方 ❶高座渋谷駅
小田急江ノ島線の高座渋谷駅東口
さて、さっそく「いちょう団地」へと行ってみることにしましょう〜♪
「いちょう団地」の最寄駅は、小田急江ノ島線の高座渋谷駅。新宿からは1時間ほどの場所にあります。急行は停車しないので、手前の大和で各停への乗り換えが必要です。
「いちょう団地」は駅の東側にあるので、東口から改札を出ましょう〜。
「いちょう団地」のメインストリート
駅から「いちょう団地」へは、直線距離で1㎞ほど。
近道を使うと歩いて15分くらいで行けますが、今回はわかりやすいメインストリートを通って行くことにしました。
東口のロータリーを直進し、町田街道(国道467号)を右折。下和田のT字路を左折し、道なりに歩くと、「いちょう団地」が見えてきます。
訪問したのは土曜日の午後2時くらい。歩いている人はほとんどいませんでしたが、車通りはそこそこありました。
ちなみに、下の地図が、今回の「いちょう団地」訪問ルートです★
いちょう団地訪問MAP
❷いちょうショッピングセンター
「いちょうショッピングセンター」
まず最初に訪れたのが、「いちょうショッピングセンター」
下和田のT字路から、ぐるっと左に道なりに進んだ右手にあります。
この場末感満点の外観がたまりませんね!
ショッピングセンターの前には、ベトナム人らしき外国人の若者たちが数名、地べたに座って談笑しておりました。
さて、さっそく中に入ってみましょう〜♪
「いちょうショッピングセンター」の館内
こちらが、「いちょうショッピングセンター」の館内の様子です。
入っているテナントは10店鋪ほど。雑貨屋さん、美容院、ラーメン屋、韓国食材&食堂、スナック、八百屋などがありますが、半分くらいのお店のシャッターが閉まっていました。
この寂れ具合が何とも言えない感じ。
ちなみに、「いちょう団地」は、アジア人が多いと言っても、住民の7割は日本人です。
けれども、その大半が高齢者であるとのこと。
アジア食品「ビェット・フォン」
センター内にあったアジア食材のお店「ビェット・フォン」です。
隣に同じ名前のレストランもありましたが、シャッターが閉まっていました。
夜になるとオープンするのでしょうか?
取り敢えず、中を覗いてみます。
「ビェット・フォン」の商品棚
ライスペーパーやフォーの麺も売られています。
店内の棚には、ライスペーパーやフォーに使う麺、ヌクマムなどの調味料、即席めん、ココナッツミルク、ドライフルーツなど、ベトナム食材を中心としたアジアの食材がたくさん!
お客さんもパラパラと来ていました。
いちょう団地
ショッピングセンターを出て、団地を北へと歩いていきます。
歩いている人はほとんどおらず、かなり閑散とした印象。
境川の注意看板
団地の真ん中には境川が流れています。
川の側には、注意看板が立てられていて、看板には日本語、英語、中国語、ベトナム語、クメール語、ラオ語で案内文が書かれていました。
「畑を作ったり」って、作る人がいるのでしょうか?
いちょう団地
境川を渡って、団地の東側へと向かいます。
土曜日の午後、静かで長閑な風情です★
❸いちょうマート
いちょうマート
境川を渡ると、すぐ右手にあるのが、いちょう団地最大のショッピングセンター「いちょうマート」
いちょう団地32号棟の1階にあるマーケットで、館内にはデイサービスや薬局、洋品店、青果店、理容室、美容院、中華菓子のお店。そして、もちろん、アジア食材のお店も入っています。
さっそく、中に入ってみましょう〜♪
「いちょうマート」の館内
こちらが、「いちょうマート」の館内の様子。
先ほどの「いちょうショッピングセンター」と比べると、シャッターを下ろしている店も少ないし、きちんと稼働している感じ。
けれども、人影はほとんどなく、煌々と館内を照らし出す蛍光灯が何とも言えない寂寥感を醸し出していました。
アジア食材のお店「シーワント食品」
「いちょうマート」内にあるアジア食材のお店「シーワント食品」です。
看板にアンコール遺跡の写真が掲げられ、”アジア”を主張している感じ。
店主さんは、カンボジア出身の方なのでしょうか。
「シーワント食品」の店内
「シーワント食品」の店内です。
「いちょうショッピングセンター」にあったアジア食材店「ビェット・フォン」よりも、品揃えはかなり充実していて、店内も綺麗。お客さんも何人か来店していて繁盛している様子。
かなり渋い美容院
それにしても、この「いちょうマート」の館内、何とも独特な気怠い空気に包まれていました。
写真の美容室も、理容室もデイサービスも洋品店も、シーワント食品以外は驚くほど殺風景な店構え。
宣伝がない(する必要がない)とお店ってこうなるのかと、思い知らされた感じです。
多言語で書かれた「バイク侵入禁止」
「いちょう団地」の給水塔
ベトナム語らしき落書きが
ゴミ案内も多言語
「いちょうマート」を出て、団地の中をぶらぶら。
ガランとした団地内。時折り外国人らしき子供が遊んでいたり、団地の部屋から異国っぽい音楽が聴こえてきたり。
団地のそこかしこにある標識や案内板が多言語だったり。
❹いちょう小学校
「いちょう小学校」
ぶらぶらと歩いていると、「いちょう小学校」の校舎がありました。
「いちょう小学校」は、平成26年4月に近隣の小学校と統合され、現在は閉校となっています。
多くの在留外国人の子供たちが通ったという「いちょう小学校」。学校の塀に、そんな子供たちが描いた絵があるというので見に行ってみることにしました。
ベトナムの田園とアオザイ女性
こちらは、カンボジア。アンコールワット!
ラオスの仏塔と僧侶たち
こちらは中国でしょうか。龍です。
ブラジル、リオのキリスト像とサッカー
給水塔の立つ「いちょう団地」
学校の塀には、子供たちが描いたそれぞれの国にまつわる絵が描かれていました。
ベトナムの田園とアオザイ女性の絵、カンボジアのアンコールワットの絵、ラオスの仏塔と僧侶たちの絵、中国の龍の絵、ブラジルのリオのキリスト像とサッカーの絵。
様々なルーツを持つ子供たちがこの小学校で日本の子供たちと一緒に学んだのでしょう。
「先生方、たくさんの思い出ありがとう。ここが私達のふるさと♡」
それぞれのお国柄を表した絵とそこに書かれた言葉を見て、「いちょう小学校」で展開されたであろう、いろいろな情景を勝手に想像し、何だかうるっときてしまいました。
❺バインミーヴィエ
1階に店舗が入ったアパート「中和田2号棟」
「いちょう小学校」の絵を見て優しい気分になった後、「いちょう団地前」の交差点を右折。すると、1階に店舗が入ったアパート「中和田2号棟」が現れます。
ここには、いくつかの在留外国人御用達のお店が並んでいます。
「バインミーヴィエ」
こちらは、「バインミーヴィエ」
本場ベトナムと同じ、サクサクのパンを使ったベトナムサンドイッチ「バインミー」をいただけるお店です。
「バインミー」は、魚のすり身、焼豚、卵焼き、パテー・ハムの4種類。お値段はいずれも500円です。
「バインミーヴィエ」では、「バインミー」をテイクアウトできるのはもちろん、店内でベトナム料理をいただくこともできます。
ベトナム料理「サイゴン」
アジア食材のお店「金福」
カラオケバー「ディエム・ヘン・カフェ・バー」
他にも、「中和田2号棟」には、ベトナム料理のレストラン「サイゴン」、アジア食材のお店「金福」、カラオケバーらしきお店「ディエム・ヘン・カフェ・バー」など、在留ベトナム人(他のアジア人も)御用達のお店が並んでいます。
いずれも、ディープな雰囲気で入るのには思い切りが入りそう。
今回は次に紹介する『タンハー』に行く予定だったので中には入りませんでしたが、この辺のお店も覗いてみるのも面白そうです。
いちょう団地
さて、「中和田2号棟」を抜け、道なりに南へと歩いていきます。
そして、300mほど歩いた左手に、本日の最終目的地、ベトナム料理店『タンハー』があります。
❻タンハー
ベトナム料理店『タンハー』
こちらが、ベトナム料理店『タンハー』です。
この『タンハー』、日本ナイズドされていない、本場そのもののベトナム料理を味わうことができるということで、ベトナム料理好きにとっては聖地のようなお店であるとのこと。
さっそく、中に入ってみましょう〜♪
『タンハー』の店内
こちらが、『タンハー』の店内です。
お店に入ってまずびっくりするのが、店内中に置かれた野菜や果物、調味料や加工食品、飲料などの数々!
食堂というよりは、スーパーの中に食事をいただけるテーブルを設置しましたという感じです。
店内にはあらゆるベトナムの食材が販売されています。
お野菜やフルーツもたくさん!謎なものも結構あります。
店内には、現地ベトナムのお店で売られているような、ありとあらゆるベトナムの食材が並んでいます。
お料理の定番ココナッツミルクやベトナム調味料ニョクマム。春巻き用のライスペーパーやフォーの麺などなど。
「いちょうショッピングセンター」のアジア食材店「ビェット・フォン」よりも、「いちょうマート」の「シーワント食品」よりも、品揃えは充実している感じです。
ぐるりとベトナム食材に囲まれた食堂テーブル
この『タンハー』、「いちょう団地」の中でも一番の人気店なのでしょう。
店内には、食材を買う人、真ん中のテーブルでお食事をする人、たくさんのベトナム人で賑わっていました!
「フォー・ボー」750円
「ブン・ボー・フエ」750円
『タンハー』でいただいた「フォー・ボー」と「ブン・ボー・フエ」です。
このお店、お料理のメニュー数が驚くほど多く、しかも、見たことも聞いたこともないようなお料理が盛りだくさん!
もちろん、お料理のお味も本場ベトナムの味そのもので、ベトナム料理好きなら満足すること請け合いです★
『タンハー』についての詳細はこちら↓
『タンハー』からの帰り際、団地の横に青々とした田んぼを見つけました。
現地ベトナムを思わせる広々とした水田の風景。
その脇には、ベトナム人の集団が集まって何やら賑やかに談笑していました。
「いちょう団地」、ここにはベトナムがありました★
横浜市泉区にある在留ベトナム人が数多く居住する“ベトナムタウン”「いちょう団地」
日本に居ながらにして、ベトナムの雰囲気を味わうことができる貴重なところです。
ベトナムの空気を感じたくなったら、本物のベトナム料理をいただいてみたいと思ったら、ぜひ、「いちょう団地」へと足を運んでみることをオススメします★
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