天を突く、とんがり屋根の木造教会。
直線的なフォルムを持ちながらも、柔らかで温かい印象のその外観。
ルーマニア・マラムレシュ地方独特の木造教会は、素朴で飄々とした、まるで、童話「ムーミン」に出てくる「スナフキン」のような建物でした。
マラムレシュ地方の木造教会【世界遺産】
マラムレシュ地方には、「世界遺産」に指定されている木造教会がいくつか存在しています。
この「ブルサナ」(Barsana)村にある教会(1720年の建造)もそのうちのひとつ。
この教会は、構成する素材の全てが「木」で造られ、礎石すらないそうです。
屋根には、魚のうろこのような瓦がびっしりと敷き詰められ、内部の壁面は、聖書の物語をモチーフにしたイコンで埋め尽くされています。
ブルサナの女子修道院
ブルサナの村の外れには、女子修道院がありました。
この修道院には、様々な形をした木造建築物が建てられています。
建物は全て最近建てられたものですが、伝統的なマラムレシュの建築様式を踏襲しています。
とんがり屋根の教会
モミの木の屋根が特徴あります。
敷地内はとても綺麗に整備されており、黒い衣装を着た修道女が、黙々と庭の手入れをしていました。
ブルサナは、この新しい木造建築群ができたおかげで、マラムレシュ地方の中でも、最も有名な村のひとつとなっているようです。
けれども、この時、修道院にいた観光客は、私ひとり。ブルサナの村を歩いている時も、観光客らしい人には誰一人として出会いませんでした。
修道院の建物群は、丘の上に建てられています。
修道院近くを通りかかった馬車
マラムレシュ地方には、42の木造教会があり、その3分の1が200年以上前のものだそうです。
世界遺産に登録されているのは、
- 「ブルサナ(Barsana)」村の教会
- 「シュルデシティ(Surdesti)」村の教会
- 「イェウッド(Ieud)」村の教会
- 「ポイエニレ・イゼイ(Poienile Izei)」村の教会
- 「ブデシティ(Budesti)」村の教会
- 「デセシティ(Desesti)」村の教会
- 「プロピシュ(Plopis)」村の教会
- 「ロゴス(Rogoz)」村の教会
の8ヶ所です。
マラムレシュ地方のモミの木の門
マラムレシュ地方の家は、「門」が特徴的です。
それぞれの家が、それぞれの形と模様を持つ門をこしらえています。
ブルサナ村の家の門
門は、真ん中の大きな入り口が馬車や荷車用、脇の小さな入り口が人間用です。
マラムレシュには、木彫りの職人が多く住んでいて、その技術は世界的にも高く評価されているようです。
凝った装飾が施された立派な門
家ごとに違う門の形。それぞれの家の格式を表しています。
どこの家にも木造の門があります。
門は、樫や樅の木でできており、マラムレシュ地方の人々の生活用品も、木で造られたものが多いそうです。
木と共に生きる。
マラムレシュ地方の文化は、そんな文化です。
旅行時期:2003年5月
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