インドは舞踊の宝庫。数あるインドの舞踊の中でも、四大古典舞踊のひとつに数えられている舞踊「カタック」の公演が下北沢で行われるというので観てきましたー!
前田あつこ&カダムジャパンのアムルート・マンタン公演です。
「アムルート・マンタン」北インド古典カタック舞踊の祭典
そもそもカタックとはどんな舞踊なのか?簡単に説明したいと思います。
カタックのルーツはヒンドゥー教のお寺。「カタック」とは、”語り部”を意味します。
紀元前の頃から、北インドではカタカと呼ばれる語り部が村々の寺院を廻って、ラーマーヤナやマハーバーラタといったヒンドゥー教の叙事詩を語って聞かせていました。
カタカたちは、そのうち語りにパントマイムや歌や音楽、踊りなどを取り入れるようになり、舞踊としての形式が出来上がっていきました。
16世紀、インド北部はペルシャや中央アジアの流れを組んだ王朝、ムガル帝国の支配下に置かれます。
カタックは、宮廷内でペルシャや中央アジアの舞踊の影響を受け洗練されていき、高度な舞踊芸術へと昇華されていきました。
カタックの特徴
カタックは、身振りの表現である「ヌリティヤ」と、感情の表現である「アビナヤ」をその表現手段としています。
神々に捧げる「ヴァンダナ」「ヴァルナ」、インドの太鼓タブラと足の動作で掛け合いをする「タトカル」、旋回する動作の「チャッカル」、一瞬に動きを静止する「ハスタック」
特にタブラとの息の合った掛け合いは絶妙です。
踊り手の足首には100個以上の真鍮製の鈴(グングル)が付けられており、ステップによる「シャンシャン」というリズムとタブラのビートが、インド古典音楽の輪廻のようなリズム周期(ターラ)によって即興で掛け合いされていきます。
また、チャッカルの旋回の激しい動きから瞬時に静止するハスタックへの流れは、ハッとするような美しさ。空手や居合の型を見ているような心地よい緊張感があります。
これまた見事!
衣装はムガル朝の服装の影響を受けており、薄い絹のヴェールのグーンガットを被り、長袖のシャツとピッタリとしたチュリダールというズボンを履き、その上に薄手の広がるスカートを付けます。
アムルート・マンタン
今回観たアルムート・マンタン公演。
北インド古典カタック舞踊(ラクナウ流派)の舞踊家、前田あつこさんの主宰する「カダムジャパン」の公演です。
前田あつこさんは、6歳よりカタックを習い始め、インドのカダム舞踊学校にて舞踊振付家である巨匠クムディニ・ラキアに師事。国内外で数多くの舞台に出演し、カタックの魅力を伝え続けている方です。
2007年には「カダムジャパン」を立ち上げ、現在では渋谷のスタジオでカタック舞踊教室を開いているそうです。
アルムート・マンタン公演は素晴らしいものでした。
生カタックを観るのは初めてだったのですが、バラタナティアムとはまた違った美しさ。
優雅でシャープな格好よさがあります!
印象に残ったのは、前半のギターの伴奏で踊られた「マドゥ」という演目。
インド古典音楽とは違った優し〜いムードで6人の踊り手が踊るのですが、なかなか良かったです。
そして、やっぱり素晴らしかったのは、後半の生インド楽器とのライブセッション!
インドの横笛バンスリー奏者の寺原太郎氏と、タブラ奏者、指原一登氏の演奏のもと、前田あつこさんがドゥルガー女神やクリシュナ神の踊り、雨を表した踊りなど様々な踊りを踊ります。
バンスリーのうっとりとするような音色、タブラの心地よいリズム周期と、それに掛け合うカタックのステップワークによる鈴の音。激しい旋回と一瞬の静止(ここで大拍手)のメリハリ・・・
満足しましたアムルート・マンタン!
コメント