「神聖なる一族24人の娘たち」“O”で始まる女性たちのシュールでエロチックな説話集【映画】

「神聖なる一族24人の娘たち」“O”で始まる女性たちのシュールでエロチックな説話集【映画】

神聖なる一族24人の娘たち【映画】 エスニック映画館
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ロシア西部のヴォルガ川流域に広がる魔法の国のような世界
──マリ・エル共和国。
自然崇拝と大らかな性で人生を謳歌する人々の
摩訶不思議な物語がベールをぬぐ。

映画『神聖なる一族24人の娘たち』公式サイト

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ロシア連邦内にある「マリ・エル共和国」を舞台としたロシア版「遠野物語」

物語の舞台は、ロシア連邦内の、モスクワから東へ643㎞のヴォルガ川流域にある共和国「マリ・エル共和国」(Mari-El:Марий Эл)

この地には、500年もの間、独自の言語と文化を保ち続けてきた「マリ人」(Mari)と呼ばれる人々が住んでいます。

映画『神聖なる一族24人の娘たち』は、今も様々なフォークロアが息づくマリの村を舞台に、24人のマリの娘たちの物語を紡ぎ出した短編説話集。

ロシア映画界新進気鋭の監督「アレクセイ・フェドルチェンコ」が描いた、ロシア版「遠野物語」です!

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マリ・エル共和国とは?

神聖なる一族24人の娘たち【映画】

さて、「マリ・エル共和国」って聞いたことないって方がほとんどだと思います。

自分もこの映画で初めて知りました。

「マリ・エル共和国」とは、どんなところなのか。ちょっと調べてみました★

 

「マリ・エル共和国」は、ロシア連邦内の自治共和国で、首都はヨシュカル・オラ。

人口は約70万人ですが、マリ人はそのうちの43%ほど。

マリ人は、ロシア連邦内に60万人くらい住んでおり、ヴォルガ川左岸に住む牧地マリ人、右岸に住む山地マリ人、バシコルトスタン共和国に住む東部マリ人に大別されるとのこと。

フィン・ウゴル系のマリ語を話し、民族的には、フィンランド人やハンガリー人に近いようです。

信仰は、人間と自然が密接に繋がっていると考える自然崇拝がメインで、ヨーロッパの中でキリスト教を信仰していない数少ない地域のひとつであるのだとか。

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自然崇拝を信じる娘たちの24話の不思議な物語

神聖なる一族24人の娘たち【映画】

神聖なる一族24人の娘たち【映画】

物語の主人公は、“O”から始まる名前を持った24人のマリ人の女性たち。

映画は、彼女たち24人それぞれのエピソードが連なる短編集になっています。

 

短編それぞれの内容は様々。

友人にそそのかされて夫の浮気を確かめるために股間の匂いを嗅ごうとする女性の話。振られた女性に復讐するために墓地から掘り出したゾンビを派遣する話。

イケメン亡霊が開く秘密の会(女性たちが裸で踊る会)に参加してしまう少女の話。夫に想いを寄せる醜い森の精霊に呪いをかけられてしまう女性の話。

娘の体が豊満になるようにと体を拭くまじないをするおばさんの話。初潮を迎えた女性がそれを知らせるためにラッパを吹く話。

などなど。

「性」を扱ったエロチックなお話や、精霊やまじないが登場する不思議なお話が多く、どの話もどことなくユーモラス。

 

映画に出てくる女性たちは、カラフルな民族衣装を着ている人がいたり、現代的なジーンズやシャツを着ている人がいたり。まじないや精霊の描写があると思えば、バスで大都会のモスクワへ行くくだりがあったり。

現代的な暮らしの中に、アニミズムが違和感なく同居しているところに、不思議なものを感じさせられます。

 

物語はすべてフィクションですが、いずれの説話も、原案・脚本を務めたデニス・オソーキンがヴォルガ川中流域で実際に見たり聞いたりしたことを描いているのだとのこと。

監督のアレクセイ・フェドルチェンコによると、撮影は実際の牧地マリ人の村で行われ、撮影期間は1年にも及んだとか。

また、出演している女性たちはマリ人が多く使われ、ロシア人の俳優を採用する場合もマリ語を習得することを条件にしたのだそうです。

 

ロシア西部にある知られざる国「マリ・エル共和国」

ロシアに、「性」に対してこんなに大らかな人々が暮らす地域があるなんてびっくりです!

牧歌的な風景の中で繰り広げられる、シュールでユーモラスでミステリアスで、なんだか可愛らしい24人の娘たちの物語。

美しい玉手箱みたいな映画です。

もちろん、マリの女性たちが着ているカラフルでエキゾチックな民族衣装も、とっても魅力的★

キャスト

オロプチー(Oropti):ユーリア・アウグ(Julia Aug)
オシュヴィーカ(Oshvika):ヤーナ・エシポヴィッチ(Yana Esipovich)
オヴロシ(Ovrosi):ダリヤ・エカマソワ(Daria Bogatova)
オシャニャク(Oshalyak):オリガ・ドブリナ(Olga Dobrina)
オリカ(Orika):ヤーナ・トロヤノワ(Yana Troyanova)
オカイ(Okai):オリガ・ジュグチャロワ(Olga Degtyarova)

スタッフ

監督    :アレクセイ・フェドルチェンコ(Alexey Fedorchenko)
原作・脚本 :デニス・オソーキン(Denis Osokin)
撮影    :シャンドル・ベルケシー(Shandor Berkeshy)
編集    :ロマン・ヴァジェーニン(Roman Vazhenin)

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